データセンターは桁違いのエネルギー消費量

 エネルギー消費量の多いのはどんなビルだろうか。1m2当たりの年間エネルギー消費量の多いビルを一覧にしてみると、データセンターや通信設備事業用途で使われているビルが多いことがわかる。なかにはセキュリティー上の懸念から、用途を公表していないビルもある。

■エネルギー消費量が多いビル(数値の単位はMJ/m2・年)

1位 30,340 塩浜ビル
2位 29,850 ソフトバンクテレコム新東京センター
3位 28,990 KDDI渋谷テクニカルセンター
4位 27,980 TIS東京センター
5位 27,370 1651ビル

 1位の塩浜ビルは1m2当たり年間3万340MJ。省エネ実質1位だった三井住友海上新川ビルやトヨタ自動車東京本社と比べると、文字通り"桁違い"の消費量だ。

 塩浜ビルは、江東区塩浜2丁目にある。通信事業者のKVH(本社:港区)のビルで、延べ床面積は2万5177m2。これまでに、サーバー室の空調の改善や一部サーバーラックの換気ファン停止、外気導入量の適正管理、不要な時間帯の消灯の徹底など、設備と運用の両面でさまざまな対策を実施している。これらの取り組みによる削減は進んでいるが、サーバーの需要が増えたため温室効果ガス排出量は年々増え続けた。2005年度から2009年度にかけてビル全体で9369t、1万3873t、2万265t、2万5888t、3万187tと推移している。

塩浜ビル

 データセンターは社会インフラとして欠かせない設備だ。東京都の集計によると、さまざまな用途・業態の施設で温室効果ガス排出量の削減が進むなか、データセンター事業者と大規模なサーバールームを持つ事務所の排出量は依然として増加傾向にある。2010年11月には、東京都がデータセンターの省エネルギー対策に的を絞ったシンポジウムを開催するなどして、啓発と対策に努めている。

<編集部注>
エネルギー消費量が少ない実質ランキング6位の住友不動産芝公園タワーは、東京都に提出された書類の建物面積に誤りがあったため、編集部で1m2当たりの年間エネルギー消費量などを計算し直した。

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