建物・設備の性能、現場の努力、企業姿勢――で省エネ実現

 実質3位の三井住友海上駿河台ビルは、1m2あたりの年間エネルギー消費量が1260MJだ。1位の三井住友海上新川ビルと同じく、三井住友海上が自社ビルとして使用している。この二つのビルのケースは、建物の省エネが、(1)省エネに取り組みやすい建物・設備性能、(2)現場管理者の不断の努力、(3)現場の取り組みを方向付ける明確な企業姿勢――によって実現することを示している。二つのビルの建設時点の所有者は、新川ビルが住友海上火災保険、駿河台ビルが大正海上火災保険だ。それが経営統合によって2001年に三井住友海上火災保険になり、二つのビルが同じように省エネの成果を上げてきた。

三井住友海上駿河台ビル

 三井住友海上駿河台ビルは地上25階・地下3階建て、延べ床面積7万5610m2の規模で、大正海上火災保険の本社として1984年に完成した。2009年度の在館者数は約3000人。100m2あたりの在館者密度は4.0人だ。2005年度からの推移を見ると消費電力量は一貫して減少している。温室効果ガス排出量は、2009年度こそ対前年比で少し増加したものの、低い水準を保ち続けている。

 やはり、建物の性能が省エネに貢献している。深い庇が日射を遮る構造だ。窓上部には換気用の電動式欄間窓があり、空調負荷の軽減に活躍している。暑い時期と寒い時期以外のいわゆる中間期なら、自然換気によって空調機器の使用が抑えられる。真夏は、気温が低い明け方に窓を開けて室内の気温を下げる。

 同ビルも2008年度までに設備面の大きな対策は終えており、2009年度は運用面での努力が中心となった。18時を過ぎると強制的に空調を停止する、人のあまりいない場所での照明を切るなど、目についた無駄を日々の管理の中ですぐに改めることに徹した。