2011年以降、東京都内に誕生する賃貸仕様の環境配慮型オフィスビルを6回連続で紹介する。第1回は、自然採光と自然換気の最先端技術を導入する「ヒューリック大伝馬ビル」。100年間使用する経済効果も見込んだ注目プロジェクトだ。

■新開発のルーバーが自然光をとことん利用
■1時間に5回以上の自然換気能力
■100年以上使うことを想定して経済効果を試算

 ヒューリックが2012年8月の完成を目指して中央区日本橋大伝馬町に開発中の大伝馬ビル(仮称)は、地上10階地下1階、延べ床面積7745m2の100年仕様だ。MIT(マサチューセッツ工科大学)との共同研究で、自然採光と自然換気の最先端技術を導入する。

ヒューリック大伝馬ビルの完成イメージ(資料:ヒューリック)

 自然採光は、窓の上部に取り付けるルーバーによって実現する。ルーバーの形そのものが新しい。微妙な形状で建物の外から入る日射を室内の天井に当て、天井板で執務空間に反射させる仕組みだ。太陽の高度が変わっても、ほぼ均一に光を導く。

 2011年2月、晴天の日中に東京都内の既存ビルで実験したところ、窓から12m離れた机上面で500ルクスの明るさを確保した。このルーバーがないときには100ルクス以下だった。ルーバーは固定式で動力は不要だ。天井には従来と異なる特殊な材料を用いる。