MIPIMが開催されている仏カンヌの会場
MIPIMが開催されている仏カンヌの会場
日本市場をテーマにしたセッションがMIPIMのオープニングを飾った。左から村田弘一氏(三菱商事)、Leonard Meyer氏(建造キャピタル)、松尾正俊氏(玄海キャピタルマネジメント)
日本市場をテーマにしたセッションがMIPIMのオープニングを飾った。左から村田弘一氏(三菱商事)、Leonard Meyer氏(建造キャピタル)、松尾正俊氏(玄海キャピタルマネジメント)

 現地時間の3月8日火曜日、仏カンヌで不動産コンファレンスのMIPIM(ミピム)が開幕した。4日間の会期中に集まる参加者は約2万人。欧州投資業界の中心的なイベントであると同時に、北米やアジアなどに拠点を置くグローバルファンドのマネジャーが集結するイベントだ。日経不動産マーケット情報は一昨年と昨年に続き、現地からの速報をお送りする。

 今年のキャッチコピー「Build Connections」が象徴する通り、金融危機後のMIPIMは実務的な商談スペースとしての性格を年々強めてきた。欧州系のファンドや投資銀行のなかには数十人、百人単位で社員を送り込む会社も多く、普段は各国に散らばっている同僚たちが一堂に会する貴重な機会ともなっている。5月のカンヌ映画祭で知られる会場のパレ・デ・フェスティバル周辺は、高級ホテルが立ち並ぶ南仏屈指のリゾート地。しかし、今の時期は打って変わって、スーツ姿の人々で埋め尽くされている。

 ロンドン、パリといった大都市から南太平洋の小国まで、世界各国から政府要人から来日して投資家へのアピールを繰り広げる展示会場で、これまで日本はどうしても埋没しがちだった。しかし、今年のMIPIMでは50を超えるパネル・ディスカッションや講演が予定されるなか、日本市場をテーマにしたセッションがイベントのオープニングを飾り、一定の存在感を示している。

 建造キャピタルのLeonard Meyer社長の司会のもと、玄海キャピタルマネジメントの松尾正俊社長、三菱商事の村田弘一氏(新産業金融事業グループCEO補佐、不動産開発事業ユニットマネージャー)が登壇した。多くの海外投資家を含む会場の聴衆に対して、松尾氏は市場データから東京の不動産市況が底を打った現状を分析。国内の大手不動産会社が本格的に動く前の今のタイミングが、海外の投資家にとってまたとない“買い時”であると語った。東京からはJPモルガン証券のJesper Koll株式調査部長がテレビ会議で参加し、携帯電話の基幹部品やITサービスに代表される技術立国としての地位は揺るがないと解説した。

 会期中配布される公式ニューズレターでは、西郷真理子氏(まちづくりカンパニー・シープネットワーク社長)が初日の表紙を飾った。香川県高松市丸亀町など複数の中心商店街の再生に関わっている彼女のプロジェクトは、10日木曜日に開催される都市開発分野のコンテスト「MIPIMアワード」にノミネートされている。このニューズレターには本誌も2ページの特集記事を提供し、海外投資家の日本への理解促進に向けて一役買っている。

 今後、本誌では欧米ファンドのトップエグゼクティブを含めて、現地で拾い集めた参加者の生の声を届けていく予定だ。

本間 純=フランス・カンヌ