不動産ファンド運用大手のダヴィンチ・ホールディングスは、2月18日に開示した2009年度連結決算で、ファンド保有資産の評価見直しなどにより110億円の債務超過となった。

 ダヴィンチの旗艦ファンド「カドべ」では、パシフィックセンチュリープレイス(PCP)丸の内のローンがデフォルトしたほか、芝パークビルや虎ノ門パストラルなどの評価を見直した。同ファンドに関して、出資金額割合で約8割の投資家から出資履行要請の拒絶や出資終了の通知を受け取っている。

 BNPパリバグループからの借入金、220億円については9月14日までの返済期限延長を取り付けた。ただし、すでに財務制限条項に抵触しているシンジケートローンについて三菱東京UFJ銀行などの銀行団から返済期限延長を取り付けること、金子社長の持株への担保権設定、傘下のファンド持分に対する担保権設定など、厳しい前提条件が付いている。

 ダヴィンチの連結業績は、売上高が対前年比72%減の497億円、営業損益が1130億円の赤字だ。純損益は、264億円の赤字だった。これはファンドの投資家に帰属する損益を少数株主損益として調整した後の数字で、全体としては棚卸資産評価損1076億円、投資有価証券評価損338億円、匿名組合投資損失106億円などを計上している。

 継続企業の前提に対する疑義は解消できていない。2月1日時点の従業員数は54人で、1年前から100人減った。

 同業他社の2009年連結業績をみると、12日発表のケネディクスが売上高778億円(前年比マイナス43%)、営業損益が84億円の黒字、純損益が184億円の赤字。棚卸資産の評価損166億円により、赤字幅は昨年の108億円より拡大した。AUM(運用資産総額)は9399億円で11%増加した。

 一方、16日に発表したセキュアード・キャピタル・ジャパンの決算は売上高62億円(前年比プラス7.6%)、営業損益が7億円の黒字。純損益は10億円と、昨年の純損失3億円から黒字へと転換した。AUMはPCP丸の内の取得などにより、6846億円と前年比20%増だった。