アジア太平洋の不動産会社の多くで、従業員への報酬が増加傾向にあることがわかった。APREA(アジア上場不動産協会)のアンケート調査に回答した34社によると、2009年末の平均賞与は対前年比8%増。同17%減だった2008年末から一転して増加した。基本給も対前年比1.7%増となり、同1.2%増だった2008年末よりも伸び率が高まった。

 賞与の増加率を国別に比較すると、中国(13%)、香港・シンガポール(各8%)、日本(5%)、オーストラリア(4%)の順で高かった。業績改善を見込む企業に限ってみると、賞与は対前年比で平均21%増、基本給は平均4.3%増となった。

 この調査はAPREA(アジア上場不動産協会)が、米国の経営コンサルティング会社FPL Associatesの協力で行ったもの。2009年11月前半に実施し、同年末時点における支給の見通しを聞いた。対象は大手不動産会社やファンド運営会社などAPREAの会員企業が中心で、回答企業34社の中には日本企業3社と、日本に拠点を持つ海外企業13社も含まれている。

 APREAのCEO(最高経営責任者)を務めるPeter Mitchell氏は、「2009年は不動産業界にとって厳しいチャレンジの年だったが、多くの企業が業績改善を予想し、社員の健闘に報いる姿勢を見せている」と語る。