伊藤忠商事は2010年1月、シンガポールのMapletree Investments(メープルツリー・インベストメンツ)と共同で、日本国内の物流施設に投資するファンドを設立する。テナントの要望に合わせた仕様とする、ビルド・トゥ・スーツ(Build To Suit)型の物流施設を建設し、保有する。資産規模は500億円を目標としている。

 伊藤忠商事は2004年以降、物流施設に特化した私募ファンドを組成・運営しており、運用資産は累計で約500億円に達している。日本の不動産マーケットが低迷するにつれて物流施設の新規開発も少なくなっているものの、物流コスト削減などを目的とした物流拠点の統廃合ニーズは根強い。こうしたニーズの受け皿として、物流施設への投資を活発化する考えだ。

 メープルツリー社はシンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)の子会社で、日本を含むアジア地域で不動産投資を展開している。シンガポール証券市場で上場しているREIT(不動産投資信託)、Mapletree Logistics Trustのメーンスポンサーでもある。同REITの運用資産約1900億円のうち、約380億円が日本国内にある物流施設だ。今回、設立するファンドの資産は、このMapletree Logistics Trustへの組み入れも視野に入れている。