米キャップマーク・フィナンシャル・グループは10月25日、連邦破産法第11条(チャプター11)の適用をデラウェア州の連邦破産裁判所に申請した。日本法人のキャップマークジャパン(本社:港区)は今回の申請の対象外だ。グループ会社のプレミア債権回収(同)は外部に売却する。

 キャップマークは、米ゼネラル・モーターズの金融子会社であるGMACの不動産部門が前身だ。2006年にコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やゴールドマン・サックスなどの投資グループが買収して現在の社名に変更した。不動産投融資と債権回収を手掛けている。

 同社は米国内の不動産融資の焦げ付きなどにより、2009年第2四半期に16億ドル(約1500億円)の純損失を計上した。負債総額は210億ドル(1兆9000億円)。以後、証券化商品のCDO(Collateralized Debt Obligation)やローン債権、現物不動産の売却を進めてきたが業績悪化が止まらず、日本の民事再生法に相当するチャプター11の申請に至った。

 10月23日時点で5億ドル(約460億円)の手元流動性を残しているといい、今後は裁判所の監督下で事業を続けながら再建をめざすことになる。

 アジア事業を統括するキャップマークジャパンは、今回の破産法申請の対象外とした。ただし今回の発表では、再生計画の行方によって、欧州部門などとともに同法の適用対象に追加する可能性に含みを持たせている。日本にあるキャップマーク関連会社の借り入れについては、大半の債権者との間で、今後1カ月間、米本社の破産法申請を理由に償還を迫らないことで合意している。関連会社にはキャップマークジャパンを含むとみられる。

 一方、プレミア債権回収については売却が決定した。事業用不動産ローンを扱うサービサーとしては、日本国内でオリックス債権回収に次ぐ実績を誇る。売却先は明かされていないがすでに契約は成立しており、米国の裁判所の手続きを待っている段階だ。


<訂正:2009年10月29日>

当初の記載において、「キャップマークジャパンからローンを借り入れた既存の債務者に対しては、今後1カ月間、米本社の破産法申請を理由に償還を迫らないことで、米国側の債権者と合意している」と記述していましたが、「日本にあるキャップマーク関連会社の借り入れについては、大半の債権者との間で、今後1カ月間、米本社の破産法申請を理由に償還を迫らないことで合意している。関連会社にはキャップマークジャパンを含むとみられる」に訂正しました。