日本賃貸住宅投資法人(旧リプラス・レジデンシャル投資法人)は10月2日、第三者割当増資で60億円を調達する。割当先は、スポンサーである米オークツリー・キャピタル・マネジメントが投資助言するファンドと国内の年金基金で、半分ずつ出資する。手元資金と合わせて、2009年11月と2010年2月に償還期限を迎える投資法人債、合計78億円の償還に充てる。

 投資法人は、米オークツリーが破産したリプラスから運営を引き継いだ。取得価格ベースで1020億円の賃貸住宅を運用している。2008年8月に実施した約122億円の増資、2009年6月に実施した約300億円のリファイナンスと併せ、今回の増資で「再生策の第一段階に一定のめどを付けた」と表明している。これを受けて、格付投資情報センター(R&I)は8月24日、投資法人の発行体格付「BB+」と債券格付「BB」をいずれも格上げ方向で見直すと発表した。

 発行価格は、発表前日である8月20日の投資口終値、10万1200円より1割低い9万1100円。投資口数は従来から39%増加する。希薄化が発生するが、増資の払込予定日が決算日より後になるため、9月期の分配金予想は2816円のまま据え置く。信託口を通じて増資を引き受けた年金基金の名前は明らかになっていないが、投資法人の運用会社によると政府ではなく民間のある基金という。

 増資後、オークツリーが二つのSPC(特別目的会社)を通じて管理する投資口の割合は48.7%。1社の持分が発行済み投資口の50%未満と規定されている、税法上の導管性要件をクリアした。