大和証券グループは、ダヴィンチ・ホールディングス系のREIT(不動産投資信託)であるDAオフィス投資法人を傘下に収める。資産運用会社を34億円で買収するほか、投資法人の第三者割当増資に応じ、約100億円で投資口の13.11%を取得する。6月17日に発表した。

 運用会社は7月1日付で大和証券グループ本社の100%子会社となり、名称を大和リアル・エステート・アセット・マネジメントに変更する。役員も大和証券グループが派遣する予定だ。投資口の取得価格は直近1カ月間の終値平均に基づいて19万2705円に決めた。投資法人は今回の第三者割当増資による希薄化を受け、2009年11月期配当予想を従来より9.79%低い6009円に修正した。増資で得た資金の一部は、9月と11月に期限が到来する融資、合計188億円の返済に充てる。

 DAオフィス投資法人は2005年10月に東京証券取引所に上場したREITだ。2009年6月時点の運用資産総額は約2650億円。その50%を占める新宿マインズタワーを筆頭に、ほぼ東京都心のオフィスビルに特化したポートフォリオが特徴だが、これまで資金繰り悪化懸念から投資口価格が低迷してきた。

 投資法人は信用力を維持するため、2008年5月の増資でダヴィンチの私募ファンドから約600億円を調達し、借入比率を3割に抑えた。しかし、その後もスポンサーのダヴィンチに監査法人が継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に対する疑義を付けるなど、投資家の懸念が払拭できなかった。

 大和証券グループは、経営が悪化したパシフィックホールディングスのスポンサー候補に一時名乗りを上げるなど、不動産運用ビジネスの拡大をこれまで模索してきた。従来も三井住友フィナンシャルグループとの合弁会社、大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツを通じて不動産投資を手掛けてきたが、今回DAオフィス投資法人を傘下に収めたことで運用資産を一気に拡大する。