2009年1月-3月期のREIT(不動産投資信託)資産規模が、前期(2008年10月-12月)に比べて評価額で1865億円減少したことが、東急不動産の調べで明らかになった。同社が運営している有料会員制データベース、TOREIT(トゥーリート=東急不動産J-REITシステム)で分析したもので、不動産投資市場は後退局面が続いていることを示している。

 このたび公表された報告書によると、REITは1月-3月期に23物件、1083億円の資産を取得した。これは前年10月-12月期のおよそ2倍の水準だ。一方で、18物件を605億円で売却。さらに評価額の見直しもあり、評価額ベースの運用資産総額は8兆5694億円から8兆3829億円へと低下した。評価額が低下したのは2期連続だ。

 評価額の低下に伴い、既存REIT資産の運用NOI(純利益)利回りは上昇した。利回り平均は前期に比べて0.1ポイント高い5.4%で、こちらは2期連続の上昇となった。

 物件取得時の鑑定キャップレートは前期よりも0.3ポイント上昇して平均5.2%。倉庫を除く全アセットタイプで上昇している。東急不動産は「件数が少なく物件の個別性の影響がある」と前置きしつつも、「取得価格の下落傾向がさらに進行している」と分析している。

 なお今回の調査では、2009年3月末時点のREIT所有資産1855物件について、鑑定評価業務を受注している鑑定評価会社を集計した。集計結果によると、評価を最も多く手がけているのは(財)日本不動産研究所で381件。全体の21%にあたる。以下、大和不動産鑑定(19%)、谷澤総合鑑定所(15%)、森井総合鑑定(7%)、中央不動産鑑定所(6%)と続く。この5社で全体の68%を占めており、鑑定が寡占化している状況が明らかになった。

 東急不動産はREITの全運用資産をデータベースに取り込み、TOREITの名称で多様なデータ分析手段を会員に提供している。また月ごと、四半期ごとに分析結果をまとめており、一部は同社のウェブサイトで公開している。詳細については下記関連サイトを参照のこと。