パシフィックホールディングスは3月10日、東京地方裁判所に会社更生手続開始を申請し、受理された。負債総額は1636億4600万円だ。同社は東京証券取引所に上場しており、4月11日に上場廃止となる予定だ。同日、子会社のパシフィックリアルティ、パシフィック・プロパティーズ・インベストメントも会社更生手続きを申請して経営破綻した。

 パシフィックホールディングス(旧パシフィックマネジメント)は1995年に創業、不動産コンサルティングやデューデリジェンス業務を皮切りに、2000年には不動産投資ファンド事業へ進出した。2003年に東証第2部に上場し、2004年には東証第1部に指定替えとなった。REIT(不動産投資信託)も組成し、2004年に日本レジデンシャル投資法人、2006年に日本コマーシャル投資法人を相次いで上場させた。2008年には持ち株会社制に移行して、名称をパシフィックホールディングスに変更している。

 サブプライムローン問題によって金融市場の信用収縮が進み、不動産市況が急激に悪化するにつれて、資金繰りが悪化した。同社は保有不動産の売却を進める一方で、新たなスポンサーの確保に乗り出した。2008年7月には大和証券グループ本社との間で、資本参加に向けて合意したものの、その後、解消した。2008年11月には中国の投資家から出資を受ける中柏(ちゅうはく)ジャパンと投資契約を締結、社債の発行などで480億円の資金を調達するめどが立った。2008年12月には中柏ジャパンから約6億5000万円の資金を調達しており、12月には第三者割当増資を実施する予定だった。

 しかし、2008年11月期決算で連結ベース730億1500万円の純損失を計上し、大幅な債務超過に陥った。これにより、借入金と社債の財務制限条項に抵触し、中柏ジャパンからの資金調達が困難になった。2008年11月期有価証券報告書に関しては、監査法人トーマツから監査意見不表明の通知を受け取り、2月27日に東証から監理銘柄に指定されていた。創業者の高塚優氏は2月26日付で辞任している。

 同社は、中柏ジャパンとの間で新たな投資契約の実現をめざしたものの、結局は協議がまとまらなかった。3月末日に返済期日が訪れる約840億円も含めて、今後の借入金返済のめどが立たず、会社更生法による再建を選んだ。