2008年12月末時点の不動産私募ファンドの運用資産総額は推計で約13.2兆円となり、半年間で約3000億円減少した――。住信基礎研究所が2009年2月に発表した「不動産私募ファンドに関する実態調査 2009年1月」のなかで、このような結果が明らかになった。2003年の調査開始以来、私募ファンドの運用資産が減少に転じたのは初めてのことだ。

 調査では半年に1度、私募ファンドの市場規模を推計している。これまで私募ファンドの市場規模は拡大を続けてきた。私募ファンドの資産額の13.2兆円には、日本以外の国も投資対象とするグローバルファンドは含まれていない。住信基礎研究所が把握しているグローバルファンドの日本での運用資産額を加えると15.8兆円になり、こちらも半年前と比べて1000億円減少した。2008年12月末のREIT(不動産投資信託)の資産規模は7.4兆円。半年前と比べて横ばいとなっている。

 運用ファンドの平均LTV(借入比率)は72.3%で、1年前と比べてやや上昇した。一方、今後1年間に組成を予定しているファンドの平均LTVは57.6%となっており、1年前の70.2%から大幅に下落した。運用会社の多くが、今後のファンド組成において厳しい資金調達状況が続くとみていることがわかる。投資意欲が「高まってきている」エクイティ投資家の割合は、1年前の24%から2%に激減した。

 今後の資金調達について聞いたところ、「厳しくなる」と「かなり厳しくなる」との回答を合わせると90%に達した。こうした金融機関の厳しい融資姿勢がいつまで続くかについては、「2009年内」が53%、「2010年内」が31%、「2011年内」が16%という結果になった。ファンドの出口として可能性が高い方法については、「リファイナンスによる継続」が33%と最も多く、REITや私募ファンドへの売却との回答はいずれも減少した。

 調査は不動産ファンドを運用する147社を対象にアンケート調査を実施し、51社から回答を得た。調査結果は住信基礎研究所のウェブサイトで読むことができる。