不動産投資市場の悪化はあと1年~2年続く――。ニッセイ基礎研究所が実施した不動産市況のアンケートで、不動産投資の実務者や専門家の多くがこのような見方をしていることが明らかになった。

 アンケート調査は毎年、実施しており、今年は5回目となる。不動産会社や建設会社、金融機関、保険会社、ファンド運用会社、投資顧問などの業務に携わる専門家203人を対象に10月9日~24日にアンケートを実施し、103人から回答を得た。不動産投資市場の景況感については69.6%が「悪い」と回答した。「やや悪い」と答えた29.4%とあわせると99%に達する。今後の見通しも聞いたところ、「悪くなる」(47.6%)と「やや悪くなる」(44.7%)との回答をあわせて92.3%の人が、さらに市況が悪化すると予想した。

 今後、市況が悪化すると予想した人に、いつまで悪化傾向が続くかを聞いた。「あと1年~2年」という予想が49.5%と最も多く、次いで「あと半年~1年以内」、「あと2年以上」と回答した人がいずれも20.6%となった。不動産投資市場が本格的に回復するための条件については、「世界的な金融市場の混乱終息」(29.6%)、「デット調達環境の改善」(23.4%)の回答が特に多く、ニッセイ基礎研究所では「金融環境の激変が現在の不動産投資市場の悪化を招いているとの認識の強さがわかる」と指摘した。