レーサムは8月29日、棚卸資産の評価を見直し、134億円の特別損失を計上すると発表した。同時に、2008年8月期(2007年9月~2008年8月)決算の業績予想を下方修正した。

 棚卸資産のうち保有不動産については、建築費や修繕費の高騰、賃料の下落や空室率の上昇を織り込んで時価評価する。これまで956億円だった不動産の簿価を827億円へと13%引き下げ、129億円の評価損を計上する。また、不動産を投資対象とする投資有価証券についても5億円の評価損を計上する。通期連結業績予想は、1月18日時点の予想に対して売上高を21.0%減の580億円、営業利益を21.8%減の170億円、純利益を93.4%減の7億円とした。

 国内では2008年4月以降開始の事業年度から、棚卸資産の評価に関する会計基準(低価法)が強制適用される。取得原価と時価のうち、低い方を資産評価に採用する。レーサムの場合は2008年9月開始の年度(2009年8月期決算)以降が対象となるが、今回、同社は資金調達環境の悪化や不動産の流動性低下を踏まえ、自主的に早期適用した。

 低価法適用後、レーサムが保有する既存物件の簿価と総賃料から算出した利回りは8%台後半から11%台半ばへと上昇する。同社は物件を保守的に評価し「バブル崩壊後の97~98年の最安値を下回る水準」にしたと説明する。