積極的に開発機会の確保に動いてきた、大手不動産会社の物件保有高が急速に拡大している。出そろった有価証券報告書を基に本誌が実施した調査で、この傾向が裏付けられた。貸借対照表の土地、建物、棚卸資産などを合計して求めた大手10社の不動産保有高は13兆4096億円。収益用不動産の市場規模約68兆円(国土交通省調べ)の5分の1に相当する。

 2008年3月期における保有高は、三菱地所が3兆2848億円、三井不動産が2兆5762億円、住友不動産が2兆1699億円。なかでも三菱地所は2008年3月期、前年度比で8225億円の増加となり、大きく不動産保有高を伸ばした。同社がTOB(株式公開買付)を行った池袋・サンシャインシティや有楽町・東京交通会館の運営会社、三菱東京UFJ銀行大手町ビルを保有するSPC(特別目的会社)が連結対象となったことが主な要因とみられる。スポンサーとなっているREIT(不動産投資信託)の運用資産を加えた規模でみると、合計額は3兆8000億円を超える。

 一方で国内の不動産ファンド運用会社のなかには、市場を巡る環境が激変するなか、資産規模を減らす動きも出てきている。

(詳しい記事を、8月20日発行の「日経不動産マーケット情報」2008年9月号に掲載しています)