不動産デベロッパーのアーバンコーポレイションは8月13日、東京地方裁判所に民事再生手続きの開始を申請し、受理された。6月末時点の負債総額は2558億3200万円。金融市場の混乱で資金調達が困難になるなか、他社との提携を模索してきたが合意に至らず、借入金返済や手形決済のめどがつかなくなったという。

 アーバンについては日本格付研究所(JCR)が6月4日に格付けの見直しを発表し、BBB-からBB+へと引き下げた。6月26日には、アーバンが仏BNPパリバを割当先とする300億円のCB(転換社債型新株予約権付社債)発行を発表していたが、実際の受取額は予定を大幅に下回ったことが今回明らかになった。

 調達した300億円を7月11日いったんパリバに支払い、パリバが転換後の株式を売却して得た資金の一部を1カ月程度かけてアーバンが受け取る契約だった。しかし、受け取り額は株価に連動する契約となっており、さらにアーバン株が契約における下限(当初予定250円)を割り込んだため、当初想定した金額を受け取ることができなかった。民事再生申し立てによりこの契約が終了した結果、アーバンは58億円の営業外損失を計上している。2007年10月に2000円台を記録した同社の株価は、今回の発表前に62円まで下落していた。

 アーバンは1990年に広島市で創業し、不動産ファンド向けの物件開発で急成長した。2008年3月期の連結売上高は2436億円。13日に発表した2008年第1四半期(2008年4月~6月)の売上高は499億円、営業収支は314億円の赤字だった。あずさ監査法人はこの四半期決算に関して意見不表明を発表している。3月末時点の正社員数は342人。東京証券取引所1部からは9月14日に上場廃止となる予定で、当面は営業を続けながらスポンサーを探すことになる。