フェスティバルゲート
フェスティバルゲート

 経営破綻した大阪市浪速区の立体遊園複合施設、フェスティバルゲートをめぐって、施設を運営していた信託銀行などをテナントが訴えた裁判の判決が注目されている。大阪地方裁判所は、施設の特殊性や当事者間の情報格差を指摘し、テナントへの説明義務違反などがあったとして、信託銀行側に約1億4000万円の支払いを命じた。テーマパークや遊園地のような商業施設を運営する際の法的責任を考える参考となりそうだ。

 訴えを起こしたのは、フェスティバルゲート内で飲食店を経営するフジカワ(本社:豊中市)だ。同社は、店舗の収益が上がらなかったのは、信託銀行側の説明不足やずさんな施設運営が原因だと主張。三菱UFJ信託銀行と中央三井信託銀行、事業委託者である大阪市の3者に対し、店舗の初期投下費用や累積赤字など約5億6000万円の支払いを求めた。

 3月18日の大阪地裁の判決は、フェスティバルゲートが上層階の遊戯施設を集客の核として、その“シャワー効果”で下層階の店舗が収益を上げる特殊な構造になっていると指摘。このようなアミューズメント型の複合施設では、単なるオフィスビルや商業ビルと異なり、施設全体の運営や集客力がテナントの収益に大きく左右するとの認識を示した。そのうえで、契約時に事業計画などを説明しなかったこと、契約後もずさんな運営を続けたことなどが一体となって、信託銀行側の不法行為が成立すると判断した。

 判決は当事者間の情報格差を重視した、との見方もある。経済活動が高度になるにつれて、情報量の違いが当事者間の利害に与える影響も大きくなっている。地裁判決はこうした格差が、場合によっては訴訟リスクにつながることを示したといえる。

(訴訟の内容に関する詳しい記事を、6月20日発行の「日経不動産マーケット情報」2008年7月号に掲載しています)