有識者や金融・不動産関係者などが参加する「投資家に信頼される不動産投資市場確立フォーラム」は2008年6月、不動産投資市場の発展に向けた提言をまとめた。REIT(不動産投資信託)については、より多様な投資形態を実現するなど「世界標準をリードするJリート」の実現をめざす必要があると指摘した。同フォーラムは国土交通省の社会資本整備審議会の答申を受け、2007年9月から検討を進めてきた。

 提言では「我が国不動産投資市場の巡航成長路線への回帰を目指して」と題して、市場が健全に成長するための戦略を打ち出している。日本のREITが世界標準をリードするために、減価償却により留保された資金を配当できるようにするなど、不動産投資の特長を反映したしくみづくりを提案した。打ち出した戦略はREITに関するものだけでなく、プロパティマネジメント能力の向上、安定的で円滑なデットの供給といった10項目に及ぶ。

 不動産投資市場について、個別のテーマごとに今後の展望や実務上の課題もまとめた。個別のテーマは、年金基金向けなどの不動産投資一任サービス、J-REITによる海外不動産投資、金融商品取引法施行後の投資運用業などの業務運営――の三つだ。例えば、金融商品取引法では、解釈の明確化やプロ投資家向けスキームの規制緩和などを課題として挙げている。

 フォーラムの座長は、岩原紳作・東京大学大学院法学政治学研究科教授が務めている。提言の内容は、社団法人不動産証券化協会のウェブサイトに掲載している。