CO2削減効果のシミュレーション(資料:社団法人日本ビルヂング協会連合会)
CO2削減効果のシミュレーション(資料:社団法人日本ビルヂング協会連合会)

 社団法人日本ビルヂング協会連合会は2008年6月、ビル業界が取り組むべきCO2削減対策や省エネルギー対策を示した「ビルエネルギー運用管理ガイドライン」を作成した。ビルオーナーや経営者の立場から、実行しやすい対策と効果をまとめている。連合会の会員のほか、不動産・建築・設備の関係団体に冊子を配布し、CO2削減・省エネルギー対策の導入を推進する。社団法人日本経済団体連合会とも連携し、企業の自社ビルへの導入も啓発していく。

 ガイドラインは、CO2削減・省エネルギー対策に関してビルオーナーが着眼すべき5つのポイントを示し、費用対効果を考慮して絞り込んだ100の対策メニューを提示した。具体的な対策を1)設備機器の運用改善、2)設備機器の改修・更新、3)設備システムの変更など――の3段階に分け、それぞれについて省エネ効果や投資回収年数の目安を示している。このほか、入居テナントの協力を得て実施する対策や、テナントへの啓発方策などを示している。

 連合会では、典型的なビルでこの対策メニューを実施した場合のシミュレーションも実施。1990年代に完成したある大規模ビルの場合、設備機器の運用方法を改善することで年間約1300万円のエネルギーコストを削減でき、約9.3%のCO2削減につながると試算した。設備機器の改修や設備システムの変更まで実施した場合は、投資額約6億円に対して年間約4400万円のコストを削減でき、CO2排出量を約30%削減できると試算している。