安倍政権は地方創生を重要課題に位置付けています。いの一番に目標として掲げたのは、雇用の創出。安定的な仕事がなければ、人口を増やすどころか流出を止めることさえできません。2020年までに累計30万人分の若者向け雇用を生み出すとしていますが、最近、注目を集めているインフラ運営の民間委託(コンセッション)はその一助になるかもしれません。日経不動産マーケット情報2015年2月号では、コンセッションの最新動向を掲載しました。2016年の事業開始に向けて準備が進む仙台空港、関西国際空港・大阪国際空港、愛知県の有料道路について、取材を重ねてきた記者3人が座談会を開催。舞台裏を鋭くえぐったその様子を、「よくわかるインフラ投資ビジネス」の著者である菅健彦編集委員がまとめています。ウェブサイトでも座談会の全文を3回の連載でお届けする予定ですので、併せてぜひご覧ください。

 2月号の特集では、2014年の不動産売買市場を分析しました。昨年は1000億円超の取引が6件も起きる記録的な年で、小誌が金額を把握しただけでも流通総額は4兆円を超えます。記事では300億円超の大型取引26件を一覧にしたほか、売買された物件の種類別割合、REIT(不動産投資信託)による売買金額の歴史的推移、オフィスビルの推定利回りなど、多彩な分析データを掲載しました。良好な資金調達環境を背景に、今後も不動産投資市場はにぎわいを見せるでしょう。昨年取引されたばかりの超大型案件の一つは、すでに売却に向けて動いているとの噂が……。2015年も市場から目が離せません。

 四半期に一度、東京・神奈川・大阪で実施している成約賃料調査では、大規模ビルの賃料上昇ペースに一服感が出ていることがわかりました。調査対象28エリアの成約水準をグラフにまとめましたので、2月号のオフィス市況トレンドでご確認ください。

 売買レポートは、日本たばこ(JT)グループが品川で所有していたオフィス3棟の売却や、ヘルスケアREITの上場をめざす三井住友銀行系コンソーシアムが老人ホームなど22物件を500億円強で取得した事例、東急電鉄が溝の口のオフィスビルを70億円で取得したケースなど、16件を収録。これらを含む取引185件を一覧表にまとめています。

三上 一大