福岡といえば、空港から中心市街地まで地下鉄でわずか5分という立地が魅力ですが、この近さと引き換えに、航空法で建物の高さが制限される不利益を被っています。政府は11月、国家戦略特区施策の一環として、同制限の緩和を認めました。例えば繁華街の天神地区では、これまで15階建てしか建たなかった場所に17階建てのビルが建てられるようになります。市内でオフィス開発を検討しているある事業者によれば、「福岡は古いビルが多い街だ。当社の案件には計画段階ですでに多くの入居希望が寄せられており、新築ビルに対するニーズは強い」と言います。規制緩和が進めば、福岡でも古いビルの建て替えが進むかもしれません。

 一方、少ない投資機会をめぐり、不動産価格には"高さ制限"が見えていません。投資家の目線を大きく超える価格で地元企業が買っており、市場の過熱感が増しています。日経不動産マーケット情報2014年12月号は、そんな福岡の不動産投資市場を特集しました。この1年間で取引された物件や、投資環境の変化などをまとめています。ぜひご覧ください。

 12月号の売買レポートでは、モルガン・スタンレーが取得した日鐵NDタワーや、シンガポール政府投資公社(GIC)が1700億円で取得したパシフィックセンチュリープレイス丸の内、三井不動産プライベートリート投資法人が取得したパークアクシス青山一丁目タワーなど、25の取引事例を収録しました。いまの時期は取引が多く、すべてを紙に収めることができません。注目すべき取引がほかにもたくさんありますので、ウェブサイトのニュースを併せてチェックしていただければと思います。

 なお、11月19日(水)に小誌が主催するセミナー「東京大改造~変革するオフィス市場を読み解く」に続き、12月2日(火)には住宅セミナーを開催することが決まりました。「2020年東京圏 住宅市場を先読みする」と題し、住宅やリフォーム市場の現況、五輪後の市場展望、分譲マンション市場の見通し、戸建て住宅市場の実態を、各専門家が詳しく解説。さらに2020年以降に生き残る住宅ビジネスについて、専門家が徹底討論します。日経不動産マーケット情報、日経アーキテクチュア、日経ホームビルダーの読者は特価でご参加いただけます。

 今年も暮れが迫って参りました。来年のスタートダッシュに向け、さらにはその先を見据えて、二つのセミナーをご活用いただければと思います。

三上 一大