MCM、マックスマーラ、コールハーン、ケイト・スペード……。銀座では高級ブランドを中心とする新規出店が相次ぎ、路面店賃料が高騰しています。1坪あたり月30万円を超えただの、上層階までの通しで1坪平均10万円になっただの、景気のいい話題に事欠きません。ここまで高いと店舗経営は厳しいのでは…と余計な心配をしてしまいますが、テナント企業はブランドイメージ向上のために広告宣伝費として賃料を負担しており、店舗単体の採算は度外視なのだそう。市場関係者は「ニューヨークや香港と比べるとまだ割安で、今後も上がる余地がある」といいます。日経不動産マーケット情報2014年11月号の銀座特集では、沸騰するマーケットの最新情報をお伝えしています。直近1年間の主な売買事例50件も地図と表にまとめました。

 銀座ではホテルの開発も盛ん。計画が表面化しているものだけでも、今後1800室が新たに供給される予定です。政府は東京五輪が開催される2020年までに、昨年の2倍となる2000万人の外国人訪日をめざしており、その受け皿となるホテルは当面、需要の伸びが期待できるアセットといえます。そのため、全国的にもホテルの取引は活発で、今年だけで30物件以上が取引されています。11月号の売買事例分析では、主なホテルの取引事例を掲載しました。なおホテル以外のアセットを含めると、第3四半期(7月~9月)は100億円を超える取引が27件にも達しました。

 市場の活況ぶりは、オフィス賃貸市場も同様です。11月号には、四半期に一度実施している成約賃料調査も掲載しましたが、東京・神奈川・大阪のオフィスエリア28カ所のうち、7割にあたる19カ所で、平均成約賃料が半年前より5%以上上昇しています。東京都心5区の平均空室率はついに5%台に低下。地方では回復がやや遅れていますが、東京では好調さが目立ちます。

 では、オフィス市場の活況はいつまで続くのでしょうか。こうした疑問に答えるべく、本誌では11月19日(水)、「東京大改造~変革するオフィス市場を読み解く」と題したセミナーを開催します。野村総合研究所インフラ産業コンサルティング部の金惺潤(きん・せいじゅん)上級コンサルタントを講師に迎え、東京のオフィス市場の長期シナリオを解説していただきます。デベロッパーの企業戦略や人口動態を踏まえ、市場に今後どのような構造変化が起きるか、エリア間の競争はどうなるか、長期的な課題はどこにあるのかを分析していきます。詳細はこちらをご覧ください。

三上 一大