フランス・カンヌで毎年開かれるMIPIM(ミピム)は、2万人もの参加者を集める世界最大の不動産コンファレンス。その現地報告を日経不動産マーケット情報2014年5月号で特集しました。欧州ではウクライナをめぐる問題が混沌を極めています。先だって開かれた20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議でも国際的な金融支援の必要性で意見が一致しましたが、MIPIMに参加した不動産プレーヤーはむしろ、投資需要・融資拡大を背景とした欧州での不動産市場の盛り上がりに気が向いているそうです。日本への関心も高く、来年5月には東京でMIPIM Japanの開催が決定したとのこと。現地の熱気をこの特集で感じ取っていただけたらと思います。なお、ウェブサイトでも関連ニュースをお伝えしています。

 カンヌは地中海に面したリゾート地として知られますが、東京湾に面した千葉市では、若き熊谷俊人市長が魅力あるまちづくりに奮闘しています。企業誘致はその一環で、千葉市では新規立地企業へのサポートを昨年秋に拡充。規模を問わず多くの企業を呼び込もうとしています。そんな熊谷市長へのインタビューと併せ、5月号で東京を囲む三つの政令市の企業誘致策をまとめました。税収や雇用確保の観点から、各市ともに誘致の意欲は高いものの、そのスタンスには違いも。詳細は今号のトピックスでご確認ください。

 東京、神奈川、大阪のオフィスエリア28カ所を対象に、四半期ごとに実施している成約賃料調査。今号の調査では16カ所で上昇傾向にあることがわかりました。三鬼商事のデータによると、東京都心5区ビジネス地区の平均空室率は、2009年5月以来の6%台に低下しました。実際、市場関係者に聞くと、1坪あたり2万円前後のビルの品薄感が強まっているそうです。記事では、エリアごとに成約水準の上限と下限をグラフにまとめています。

 同じく四半期ごとに掲載している売買事例分析では、今年1月~3月に集めた取引を読み解きました。100億円超の取引は実に31件に上り、昨今の不動産市場の好調さを裏付けるものとなっています。REIT(不動産投資信託)の取引も引き続き活発です。ビルごとの推定利回りや床単価は記事でご確認ください。

 売買レポートは、アクサによる中野セントラルパークの取得や、三菱商事が表参道のラルフローレン入居ビルを取得した事例、みずほ銀行による大手町タワーの購入など記事19本を収録。これらを含む取引147件を一覧表にまとめました。さらにローンスターが入札にかけた目黒雅叙園について、GIC(シンガポール政府投資公社)が1300億円強を提示し、取得の最有力候補に浮上したことも、今号で速報しました。

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三上 一大