日経不動産マーケット情報2014年3月号のトピックスでは、「奔流アジアマネー」と題して、台湾を含むアジア系投資家による東京のマンション投資にスポットを当てました。本誌は普段、比較的大きな事業用・収益用不動産の取引を追っています。そんななか最近やけに目に付くようになったのは、台湾人投資家による取得。分譲マンション市場でも同様の動きがあるとは考えていましたが、調べてみると想像をはるかに超える事態になっていました。台湾人に売れすぎたため、管理組合運営の懸念から販売を中断した物件もあるとか。なぜ彼らは東京に投資するのか、さらにどんな物件に人気が集まっているのか――。その答えを今号のトピックスにまとめました。

 都心の住宅販売市場は好調が続いています。では、回復が期待されるオフィス賃貸市場はどうでしょう。それをひもとくべく、「2013年の賃料・企業移転分析」を特集に据えました。2012年、東京では大型オフィスビルの竣工が相次ぎ、大量の賃貸床が供給されました。それを消化できるかが2013年の焦点の一つでしたが、景気回復を背景に企業の移転意欲は旺盛で、大量供給の影響はほぼなくなったといえます。ただし成約賃料は期待に反して足踏み状態が続きました。特集では、企業の移転理由や成約賃料水準の変化なども詳細に分析しています。

 「企業移転ニュース」は、6月に完成する予定の飯田橋グラン・ブルームにインターネットイニシアティブ(IIJ)などの入居が決まったことや、稼働率9割弱で1月に竣工した、ぬ利彦ビル南館など、注目ビル6棟の動向を報道しています。特集と併せてご覧ください。

 「売買レポート」は東急不動産が約500億円で取得した恵比寿プライムスクエアや、京都のルイ・ヴィトン入居ビルをアンジェロ・ゴードンが取得した取引など25事例を収録しました。また、これらを含む146物件を売買事例一覧として表にまとめています。今号の「ダイジェスト」に掲載したANREV(アジア非上場不動産投資家協会)の調査によれば、世界の投資家が2014年に最も投資したいのは「日本のオフィス」とのこと。2020年の東京五輪開催に向けて、東京には資本投下が進んでいきます。しばらくは日本の不動産市場に世界の注目が集まりそうです。

 なお本誌ではこうした環境を背景として、3月25日(火)に市場動向を解説するセミナーを開催します。オフィス市場はドイツ証券の大谷洋司氏、商業施設市場はビーエーシー・アーバンプロジェクトの矢木達也氏、ホテル市場はジョーンズ ラング ラサールの沢柳知彦氏という精鋭3人を迎え、市場の行方を鋭く読み解きます。詳細はこちらをご覧ください。

三上 一大