大阪の街が今、沸騰しています。日経不動産マーケット情報7月号では、大きな盛り上がりを見せる大阪の不動産市場を特集しました。グランフロント大阪の開業に代表される商業系の動きが顕著で、梅田エリアでは阪急阪神ホールディングスやヨドバシカメラなどが相次いで店舗を含む開発計画を打ち出しています。「キタ」を代表する梅田にばかり目が行きがちですが、「ミナミ」の一角を占める心斎橋も負けてはいません。圧倒的な集客で連日テレビをにぎわせたデンマークの雑貨店、タイガーをはじめ、H&M、フォーエバー21、プラダなど多くの店舗が昨年夏以降に開業。商店街としての人気を保っているそうです。投資環境の好転は再びファンドマネーを市場に呼び込んでおり、米ローンスターによるチャスカ茶屋町の取得など大型取引が相次いでいます。特集では不動産取引の最新動向も地図と表で詳報。独自取材により、築浅・新築ビルの稼働率やオフィスの供給動向などもレポートしています。大阪の今を知るうえで、この特集は必見です。

 一方、東京では、オフィス市況の回復が確実に起こる未来として語られるようになってきました。本誌が7月号で実施した賃貸市況予測では、国内を代表する不動産市場分析の専門家18人が全員一致で、2014年前半までの賃料及び稼働率の上昇を予測。さらに8割以上の専門家が2014年後半も上昇が続くと分析しています。この調査は半年ごとに実施していますが、前回(2013年1月号)の調査ではオフィス需給バランスの改善を市況回復の根拠にする意見が多かったのに対し、今回は景気の上昇が市況への強気の見方を支えている点に大きな変化が見受けられます。専門家がそれぞれどのように予測したのか、1年後の主要エリアのオフィス成約賃料はどのような水準にあるのか……。7月号のオフィス市況トレンドでご確認ください。

 トピックスでは、オフィスビルの環境性能を丸裸にしています。東京都がおよそ10年にわたって収集・公表してきた大規模オフィスビル260物件のデータを基に、建物の断熱・遮熱性能を表すPAL低減率、設備の省エネ効率を表すERRを本誌が集計。ビルごとに独自のランキングを付けました。1位は鹿島赤坂別館。2007年の竣工と6年前のビルですが両指標ともに高水準で、ランキング上位を占める2011年以降の新しいビルを抑えてトップとなりました。記事ではほかにも、各指標とCO2(二酸化炭素)排出量の相関、建築主別の性能分布といった興味深い分析を加えています。なおこの記事は、7月号に同梱した「Project ECHO CITY(プロジェクト・エコー・シティー)2013Summer特別編集版」にも収録しています。建物と環境を考える材料としてご活用ください。

 売買レポートは、ヒューリックが500億円で取得した神谷町セントラルプレイスや、住友不動産による八重洲富士屋ホテルの取得、米ウエストブルックとケネディクスが300億円で赤坂ガーデンシティの持分を取得した事例など、20件を収録しています。オフィス市況の底入れや金融緩和を受けて取引が活発になっており、売買事例一覧の収録件数は200を超えました。月刊誌の限られたスペースではすべての取引について詳しくお伝えすることができません。ウェブサイトも併せてご活用いただけると幸いです。

三上 一大