不動産事業において、人口動態が重要であることは言うまでもありません。その点、福岡はこの先も有望な市場だといえるでしょう。福岡市の人口は2000年以降、年間1万人を上回るペースで増加し、市の将来推計でも2035年まで純増が続きます。九州新幹線の開通も福岡経済にとってはプラスの材料です。こうしたことを背景に福岡では不動産投資が徐々に活発になっており、とくに賃貸マンションの品薄感が顕著になりつつあるようです。12月号の特集では、福岡の不動産市場の動きをお伝えします。本誌が定点観測エリアとしている博多および天神での売買事例や開発計画も、地図と一覧表にまとめました。

 東京では「サービスオフィス」が増えつつあります。オフィスビルのフロアを小区画に分割し、ベンチャー企業や中小企業などに貸し出すもので、大手不動産会社が相次いで運営に乗り出しました。外からはどれも同じような事業形態に見えますが、取材をしてみると意外や意外、各社の目的や戦略に大きな違いが浮かび上がってきました。12月号のトピックスでその違いをまとめていますので、ぜひご確認ください。

 2012年第3四半期(7月~9月)の売買事例分析も12月号に掲載しました。期間中に本誌が集めた売買事例は267件。価格が判明した取引の総額は4093億円です。オフィスビルや賃貸マンションといった定番の分野以外にも、投資対象が広がっています。なかでも注目されるのはホテルセクター。つい最近も北海道有数のスキーリゾートであるキロロリゾートを、タイのProperty Perfectが買収しましたが、2012年に入って外資系企業や国内デベロッパーによるホテルの取得・開発が活発になっています。売買事例分析ではこのようなホテル投資事例をまとめたほか、恒例の都心オフィスビルのNOI(純収益)利回りの推移なども掲載しています。

 売買レポートでは、313億円で取引された晴海フロントや、住友不動産による池袋の開発用地5000m2の売買、クレディ・スイスによるウエディング施設の取得など、20事例を収録。賃料調査は港区と大阪市を取り上げています。なお、賃料調査については2013年1月号で、大幅なリニューアルを計画しています。読者の皆様により役立つページをめざして参りますので、ご期待下さい。

三上 一大