
インターネット動画共有サービスのニコニコ動画を運営するニワンゴが、2011年5月に六本木で、ディスコの「ニコファーレ」をオープンすると発表した。ニコファーレ? どこかで聞き覚えのある名前だと思っていたら、かつて六本木に存在した大箱ディスコ・クラブ・イベントスペースのヴェルファーレを思い出した。そう、ニコファーレはヴェルファーレの跡地にできたビルの地下1階に入居するのだ。
ヴェルファーレは90年代後半を代表するクラブスペースだった。おそろいの振りで「パラパラ」のブームの牽引役だったとも聞く。パラパラというと、CGで描かれたOyajiが踊っている動画を思い出す。ニコファーレは壁前4面と天井にLEDモニターを張り巡らせるらしいので、CG Oyajiが踊り出すかもしれない。
ニワンゴはニコニコ動画のライブスタジオ「ニコニコ本社」を原宿RUIDO跡地に、クラブのニコファーレをベルファーレ跡地に作った。次はどういう懐かしい場所で、新しいことをするのかに興味がある。
(田村 嘉麿)
正直に言うと、私はマスコミにおける最近のソーシャルメディアの持ち上げ方にはいささかうんざりしていた。友人の誘いでTwitterに登録はしていたものの、書き込みはほとんどしていなかった。エジプト革命とFaceBookを結びつける論調にも違和感を感じていた。この冷めた目線は、過去に10年ほど経験したIT記者としての生活で、幾多のブームの終わりを見てきたせいかもしれない。
それでも、3月上旬に仏・カンヌで開催されたMIPIM(不動産国際見本市)の取材では、いや応なくこれらのメディアの力を認識させられることになった。MIPIM事務局は、今年からTwitterやiPhoneアプリでリアルタイムの情報発信を開始している。これらは会場で、50を超えるコンファレンスと数え切れない展示ブースのなかから取材対象を絞り込むのに役立った。また、MIPIM独自のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)であるMIPIM Worldでは、2万人近い参加者が相互にメッセージ送信できる。私もインタビュー先の開拓に活用した。
何にも増して貴重に思えたのは、3月11日の地震発生直後に友人たちのTwitterアカウントから届いた臨場感のこもったつぶやき、あるいはリツイート(転送)されてきた津波被害や原発の報道だった。徹夜明けの朝、原稿を編集部に送り一息ついたところに飛び込んできた衝撃的なニュース。東京の家族からは、電話回線が軒並み不通となるなか、唯一機能していたSkype(インターネット電話)で無事の知らせが届いた。帰国便の欠航が相次ぐなか、予定便がかろうじて飛ぶことを教えてくれたのもエールフランスのTwitterだった。被災者の心の痛みには比べるべくもないが、心細い一人旅にあって、これらの情報がどんなに支えになったかわからない。
帰国の途につく1時間前、インターネット放送のUstreamで臨時中継されたNHK総合放送を通じて、福島原子力発電所の1号機の爆発を見た。興奮と不安と情けなさが入り交じった、表現しがたい感情がわき上がった。
(本間 純)
昨年11月、東急不動産がGAP跡地で表参道プロジェクト(仮称)の建設に着手したが、商業施設関係者の中では、どういったテナントが入居するかという噂が飛び交った。これが結構面白い。
GAP跡地が更地だった2010年6月頃は、「SHIBUYA 109」が進出、「HARAJUKU 109」が誕生するという噂が出回った。これが実現していれば、様々なファッション・スタイルを受け入れてきた原宿・表参道の中に、ギャルの聖地が誕生するという非常にカオスな雰囲気になっていたに違いない。
東急不動産が施設の建築に着手した後、2010年11月には「トミー・ヒルフィガー」の旗艦店、アバクロのサーフブランド「ホリスター」、「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」の入居が噂された。ラルフローレン表参道店も近くにあるので、表参道にアメカジ村ができるかと僕は期待した。
この噂が出たのとほぼ同時期に、東急不動産がトミー・ヒルフィガーの旗艦店が入居するという発表した。僕のアメカジ村への期待はより高まった。ところが編集長から「GAP跡地には某ラグジュアリーブランドが入居するとのうわさがある」と聞かされた。
確かに、GAP跡地のある場所は、H&Mやフォーエバー21が連なるカジュアル系の明治通りと、シャネルやドルチェ・アンド・ガッバーナといったラグジュアリーブランドがひしめく表参道が交差する立地だ。そういうのもありかもしれない──、と考えもした。思わず電話に手が伸び、そのブランドの日本法人に確認したがノーコメントだった。
結局は、アメリカンイーグルアウトフィッターズ、トミー ヒルフィガーの二つのアメリカン・カジュアルの店舗と109系ブランドのバロックジャパンリミテッドの旗艦店が入居することになり、噂話が出てくることはなくなった。
施設は2012年3月に完成を迎える予定だ。
(田村 嘉麿)
最近はとんと話題に上らなくなったが、原油価格の上昇を背景として、日本で「シャリア」に関する解説本が立て続けに出版された時期があった。シャリアとはイスラム教における法体系のこと。アジア・中東ではここのところ、シャリアに準拠したREIT(不動産投資信託)組成の動きが続いている。Dubai Isramic Bankは先ごろ、フランス企業と共同でEmirates REITを立ち上げることを明らかにした。UAE(アラブ首長国連邦)においては初めてのREIT組成となる。ドバイショックは記憶に新しいところだが、同計画は停滞する不動産市況を刺激する意味合いもあるという。
マレーシアではすでに複数のシャリア準拠REITの運用が始まっており、シンガポールでも昨年11月にシャリア適合REITが上場した。Sabana Shari'ah Compliant Industrial Real Estate Investment Trust というなんとも長い名前のファンドで、同国のR&Dセンターや物流施設などに投資している。収入のうち95%以上はシャリア適合のテナントから確保するとのことだ。
シャリアにかなうのはどんな企業なのか。スタンダード&プアーズと東京証券取引所は2007年から、イスラム圏の投資家向けにシャリア適合企業だけで構成するS&P/TOPIX150シャリア指数を提供しているが、その資料によればシャリアに合わない業種として、広告やメディア、酒類、金融、ギャンブル、豚肉、ポルノ、タバコ、金銀取引を挙げている。つまりメディアである当社は、前述のREITの保有物件には入居できないということになる。支障はまったくないわけだが、なぜイスラム法で嫌われるのか、その理由が気になるところではある。
(三上 一大)
「AKB48現象というのがあるんですよ」と知り合いから聞いた。不動産市場で大型の売り物件が少なくなっていることから、総額が大きいバルク物件に人気が流れている現象を指すという。曰く「一つひとつの物件には飛び抜けた魅力がなくても、かたまりとして見るととても魅力がある」。なるほどと思ったが、私自身がAKB48をそう見ているわけではないので悪しからず……。
こういう話が出るほど、今年の不動産市場には活気がなかった。最悪期は脱したものの、深い谷底にいるというか、気味が悪い凪の状態が続いているというか、取引が少ない状況がずっと続いている。不良債権などの取引が活発になっているようだが、これらはなかなか表面化しない。実物不動産に限ると、総額10億円台以下の物件やマンション用地は活発に取引されている。ただ、大型物件や投資家にとって魅力的な物件が市場に出てきても、売り主の希望価格と買い主の提示価格に大きなかい離があり、なかなか取引が成立しない。
流行語になった「ととのいました」というわけではないけれど、今の市場は「初めてのお見合い型」と言える。互いに遠慮しているのか、それぞれの目線(売り主と買い主の価格目線)が合わずに何も進展しない。来年は大恋愛に発展するような活気にある市場になってほしい。
(徳永 太郎)
日経不動産マーケット情報12月号の編集中に気付いたことがある。大型取り引きの多くが外国資本なのだ。
例えばドイツのRREEFが大阪のユニクロ旗艦店を195億円で、韓国機関投資家が100億円で小石川のオフィスと新横浜の店舗を、額は下がるが香港興業国際集団が34億5000万円で六本木の高級賃貸マンションを買っている。ビ・ライフ投資法人が117億円で売却したマンションを取得したのも、どうやら外資らしい。
価格はわからない取り引きでは、米Elliotが表参道と新宿でブランドショップを、ペルー共和国は広尾に土地を買い求めたことがわかった。円高の中、どこまで買われるかを見てみたい。
(田村 嘉麿)
日中政府はいま海の上の小さな岩を巡ってぎくしゃくしているが、そんなことにはお構いなく、経済分野での互いの依存度は日増しに高まっている。日本の総輸出額に占める中国のシェアは18.9%で、2009年に米国を抜いて最大の輸出相手国になった。また中国にとっても日本は最大の輸入先。輸出では米国に次いで第2位の貿易相手である(JETRO資料による)。地理的、歴史的な関係も含め、別れがたいパートナーであることは疑いがない。
両国の関係は、投資戦略の観点から見ても理想的なパートナーだ。経済大国への坂を駆け上がる中国はとっても魅力的(ファンド業界の言葉では“セクシー”)な投資対象だが、安定性の点では心もとない。一方の日本はGDP成長率でみると退屈な市場だが、(首相が誰に代わろうとも)安定した経済と政治体制、そして中国よりはるかに大きな不動産ストックを持つ。
これは「バーベル」戦略がもてはやされる今の投資業界にぴったりの組み合わせである。トレーニング用のバーベルは両端が太く、真ん中が細い。ミドルリスク・ミドルリターンという言葉を誰も信じなくなった金融危機後の世界では、このバーベルの形のように、ハイリスク・ハイリターンの投資商品とその真逆の商品を組み合わせて分散投資を図る考えが主流になった。
日中間のバーベル戦略が投資家に支持を受けていることは、10月のGlobal Logistic Propertiesの上場で証明された。米ProLogisからのスピンアウトで生まれた同社の資産は、安定稼働中の日本の物流施設と、中国の開発プロジェクトの組み合わせだ。セキュアード・キャピタル・ジャパンも香港のPacific Alliance Groupと経営統合して、日中にまたがる投資プラットフォームを作ることを発表した。普段アジア人意識の希薄な我々にはピンとこないが、これは「アジア・パシフィック」単位で資産をアロケーションする欧米投資業界の慣行とも相性がいい。
(本間 純)
インターネット動画共有サービスのニコニコ動画を運営するニワンゴが、2010年12月に原宿で音楽スタジオやショップからなる「ニコニコ本社」をオープンすると発表した。リリースの写真には、見覚えのある坂が写っていた。確か、どこかの特定目的会社が所有している場所だ。
この土地について調べてみると、80年代のバンドブームを象徴するようなライブハウスの「原宿RUIDO(ルイード)」の跡地ということがわかった。原宿RUIDOはバンドの登竜門的存在で、多くのアーティストがこの場所を巣立ってメジャーになっていったという。例えば“平井堅”は、1995年1月に初ライブをこの場所で行った。シャ乱Qなども牙城にしていたらしい。しかし2007年3月に原宿RUIDOは閉鎖した。
さて、ニコニコ動画だが、こちらも「うたってみた」というジャンルで若手アーティストの登竜門的存在になりつつある。例えば、ニコニコ動画で大人気のピコというアーティストは2010年8月に、ソニー系のキューンレコードからデビューした。原宿に音楽が帰ってきたのだ。
(田村 嘉麿)
「このビルはルートC設計なので、もうそろそろテナントを決めないと……」。2012年〜2013年に完成する大型ビルのビルオーナーやオフィス仲介担当者から最近、よくこんな声を耳にする。
ここで言うルートC設計とは、ビルの防災計画で、国土交通大臣の認定が必要な「ルートC」という避難安全検証方法を採用していることを指す。2000年の建築基準法改正以降、1フロアの面積が広い大型オフィスビルでも採用が増えてきた設計手法だ。コンピューターのシミュレーションによって個別のビルの安全性能を証明することで、過剰な避難設備を省略できたり、プランニングの自由度を高めたりできるといったメリットがある。ただその半面、少し壁の位置をずらすだけでも膨大なシミュレーションの再計算が必要になる。テナントの意向を反映した仕様にするには、ビル完成の約2年前には、テナントを決めておく必要があるという。
そうは言っても、足元の空室率が高止まりし、経済情勢も不透明な状況で2年以上先の状況を見通すのは、ビルオーナーにとってもテナント企業にとっても非常に難しい。大型ビルの大量供給が予定されている2012年。テナント決定が遅れれば、たとえ完成前に入居を決めても思い通りにレイアウトできない、ルートCでの検証に時間がかかって完成時に入居できない、といったケースが増えてくることも懸念される。
(岡 泰子)
取材や撮影で表参道周辺、特に明治通りから青山通りにかけて歩くことが多い。撮影は光の関係で昼時がちょうど良いのだが、ちょうどお腹がすく時間でもある。こういう時は、気軽に食べられるハンバーガーをテイクアウトして食べたい。しかし、表参道駅近くのマクドナルドは入居していたビルごと無くなり、ウェンディーズにいたっては日本から消えてしまった(チリビーンズが好物だったのに)。ハンバーガー屋と言えば明治通り沿いのロッテリアのみなのだ。もう少しバリエーションが欲しい。
そんな気分で、とんかつ まい泉の近くを歩いていたところ、時間貸し駐車場に「(仮称)神宮前4丁目H計画(Hamburger)B敷地」と書いてある建築標識を見つけた。念願のハンバーガー屋ができるのか?! と期待したが、標識には「物販店舗、住宅、診療所」と書いてある。取材の結果「開発資金が集まらなく、着工に至っていない」とのことで、記事化をあきらめた。土地を塩漬けにするのなら、それこそ本物のハンバーガー屋を開けばいいのに。きっと私が通うに違いない。
(田村 嘉麿)
昨日、渋谷区鉢山町のマンション建築現場で、クレーンの倒壊事故が発生した。写真は、帰宅途中にたまたま現場に出くわして撮影したもの。土壌を垂直に掘削するための機械(スクリューオーガー)が、隣接する老人ホームの3階部分を直撃している。現場警備員に話をきいたところ、4日午前、掘削機械を吊っていたクレーンが何らかの理由で倒れたという。ベランダの手すりやガラス窓を突き破ったものの、入居者は無事とのことだった。
現場は東急東横線代官山駅から徒歩8分、京王井の頭線神泉駅から徒歩11分の住宅街。かつては国税庁鉢山分庁舎だった土地で、野村不動産が今年2月に落札。東洋建設が元請けとなって、地上4階地下1階建て、延べ床面積2823m2のマンション建設を進めていた。なお倒れていた掘削機械は22時10分ころ、2台のクレーンを使って水平に移動し、撤去を完了。直後に老人ホームのガラス窓の復旧も終えた。
(三上 一大)
記録的な猛暑となった2010年夏。しかし私にとっては「臭い夏」として記憶に残るだろう。自宅マンションの廊下で「何かにおうなあ」と感じ始めたのは7月上旬のこと。月末にかけて尋常ではない異臭となり、嫌な予感がして管理センターに連絡した。仕事を終えて帰宅すると、向かいの住戸のドアが養生テープで目張りされている。独り住まいの高齢者が亡くなったことを悟った。異臭が死臭だったとわかった途端、それは耐え難いものになり、すぐに何とかするよう管理センターに申し入れた。しかし数日経っても状況は変わらないどころか、管理センターから近隣住民に対して何の説明もない。やっとのことで担当者をつかまえ、進捗状況がつかめたのは、最初の連絡から10日も経った後だった。
担当者によると、連絡を受けた当日、警察が住戸内に立ち入って現場を確認。警察の委託先である専門業者が遺体を運び出し、住戸内の1次処理を実施した。「10日間は現場に立ち入らぬよう警察から指示を受けたため、具体的な対策を打てなかった」と担当者は言う。11日目にようやく、別の業者が2次処理を実施した。お盆を過ぎたころに遺族が荷物を整理して運び出し、住戸の解約手続きを行った。最終的に内装工事が行われ、異臭が消えたのは8月末だ。近隣住民は2カ月近くもにおいに苦しめられたことになる。独居老人へのケアが社会問題になっているが、こんなに身近で起きるは思ってもみなかった。故人の冥福を祈る一方で、住民への説明責任と気遣いを欠いた管理担当者には、プロとしての意識改革を求めたい。
(三上 一大)
中央区の日本橋・八重洲・京橋エリアでは、1969年以前に竣工したビルが約半数を占めている。都心の主要エリアのなかでも特に古いビルが多い。現地では、既存ビルの解体や新たなビルの建設などがあちこちで進んでおり、再開発のタネ地となる空き地なども点在している(現地調査に関する記事)。
このエリアでは、土地の高度利用を促す目的で中央区による地区計画が定められている。銀行・証券などのサービス店舗や飲食・物販店など「誘導用途」と呼ばれる施設(テナント)を一定割合で誘致した場合に、容積率を緩和する制度がある。ただ、賃貸ビル市況の悪化で、容積緩和を受けた施設のなかには、誘導用途が足かせとなっているところも出ていると聞く。たとえば、誘導用途としてオフィステナントを誘致する場合は、接客カウンターを設けた業種に限られるため、テナント誘致が難しくなるというのだ。容積率アップを選ぶか、リーシングの自由度にこだわるか。今後、開発者には難しい選択が迫られそうだ。
(徳永 太郎)
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