日経不動産マーケット情報6月号には、「これからできる大規模オフィスビル」調査を掲載しました。本誌が毎年、実施しているもので、東京都内で進行している延べ床面積1万m2以上のオフィスビル建設計画の概要を調べました。この結果、126棟、総延べ床面積760万m2のオフィス開発が進んでいることがわかりました。

 2010年に完成するビルの総延べ床面積は103万m2で、昨年の108万m2とほぼ同じ水準となりました。ただ、2012年には28棟、総延べ床面積244万m2に及ぶビルが完成する予定です。このうち、事業主が自ら使用するビルや、すでに特定のテナントが決まっているビルは6棟にすぎません。これらのビルの完成が今後の賃貸オフィス市況に与える影響は大きく、調査内容は市況を読むうえでも見逃せないものとなっています。

 ビルの立地を示した地図を見開きで掲載したほか、ウェブサイトではビルの一覧表をご覧になれます。全プロジェクトの概要データ(エクセルファイル)とカラーマップを収録したCD-ROMも販売しています。こちらをご覧ください。

 本誌では大規模ビルの動向だけでなく、延べ床面積1万m2未満の中規模ビルについても調べました。都心5区を対象に、ヒアリング調査などによって実際に計画が進行しているプロジェクトだけを集計したところ、昨年に比べてオフィスビル建設が激減していました。市況悪化で資金調達が難しくなり、数年前からビル用地仕入れが減少。都心部では、オフィスビル計画がマンション建設に変更となる事例も目立っています。こちらも、ビル概要の一覧表をウェブサイトに掲載しました。

 「売買事例分析」では2010年1月~3月の動向をまとめています。売買事例が増加し、市場には復調の兆しが見えてきました。REITによる運用資産の入れ替えや、都心部でのマンション用地の取得などによって不動産取引は活発になっています。これらの売買事例を分析し、オフィスビルの推定NOI利回りや賃貸可能床あたりの取引単価など、本誌独自のデータを掲載しました。

 売買レポートでは、青山ライズスクエアや東京汐留ビルディング、ストーリア品川などの大型取引など20事例を掲載。「オフィス移転・賃料調査」は港区を取り上げています。

徳永 太郎