近年多発する大型台風や都市型水害への対策は、設計者の急務だ。通用口に使える止水ドアや、高層階用に水密性能を高めたサッシが登場。こうした建材と、雨仕舞いのディテールを効果的に組み合わせたい。
高さ3mを超す鉄製の水槽に据え付けられたスチール製のドア。ポンプが勢いよく水をためていく。ドアの高さを超えて3mに水深が達しても、水は扉の下方からじわっとにじみ出る程度だ〔写真1〕。
この製品は今年7月に文化シヤッターが発売した止水ドア「アクアード」。幅900mm、高さ2100mmのタイプで税別121万9800円と、従来品の3分の1以下に価格を抑えた。
「従来品は金庫メーカーや水門メーカーが開発した製品が主流。潜水艦のハッチのようなハンドル操作で、水密性能は高いが価格も高い。そこで建材メーカーの目線で、日常の建具の延長として使うことができ、値ごろ感のある製品を目指した」。同社商品開発部の中島厚二課長は、開発の狙いをそう説明する。
扉の厚さは40mmと、一般のスチールドアと変わらない。特徴は扉の下端から50cm上に配した左右一対のレバーだ。平常時は普通のドアと同じように開閉できる。浸水の恐れがある非常時のみ、このレバーを操作することでドアを枠に押し込んで止水ゴムに密着させ、屋内側への漏水を抑える〔写真2〕。
また一般のドアでは、水位が鍵穴の高さに達すると、穴を通じて水があふれ出る。それを防ぐために、内部に止水機構を持つレバーハンドル錠を鍵メーカーと共同開発した〔写真3〕。