高耐久化が進むサイディングで弱点となるのが、板同士の継ぎ目を埋めるシーリングだ。汚れやすく劣化しやすいので、維持補修にコストがかかる。その弱点を解消すべく、1棟丸ごとシーリングレス化の取り組みが進む。

 建物外壁のシーリングは、目地からの水の浸入を防ぐ大切な機能を持つ。だが汚れが付きやすく美観を損ねるうえ、外装の塗装よりも早く劣化して打ち替えが必要となる。これが、建物全体のメンテナンス費用を押し上げる一因にもなる。

 外装材メーカーの旭トステム外装は、窯業系サイディングのシーリングレス化への取り組みを進めている。壁面のつなぎ目はもちろん、取り合いの施工が難しい出隅や入り隅部、サッシの周囲でもシーリングレスを推進。窓まわりの一部で見えない部分にシーリング材を使っているが、それも最小限にとどめている〔写真1〕。

〔写真1〕外壁全部をシーリングレスに
旭トステム外装の「AT-WALLガーディナル」の施工例。右上に示した青線の部分がシーリングレスの接合部だ(写真:旭トステム外装)
旭トステム外装の「AT-WALLガーディナル」の施工例。右上に示した青線の部分がシーリングレスの接合部だ(写真:旭トステム外装)

 「建物の長寿命化を目指すときに、シーリングが最大の関門。サイディング自体はフッ素樹脂を採用して15年保証を実現しているが、シーリング材の劣化はもっと早い。それならばと、シーリングを不要とする工法を開発した」。同社の石川利博・商品開発部長はそう説明する。