建設プロジェクトにおいてスケジュールの厳守は基本中の基本だ。しかし足元の職人不足など、予定通りの進捗を妨げる材料は多い。関係者の協力を引き出し、確実に工程を進める工夫を紹介する。(日経アーキテクチュア)

 発注者は1日でも早い事業の開始を望む。商業施設やホテルなど、あらかじめ開業日が決められているプロジェクトであればなおさらだ。もし予定工期が守れず竣工が遅れるような事態になれば、発注者からの信頼は地に落ちる。施工者には違約金などのペナルティーが課せられるだろう。

 スケジュール遅れの原因には、工事費の高騰によって施工者の確定が遅れる、十分な人員を確保できずに工事現場での作業がストップする、などの昨今の建築界を取り巻く厳しい現状が挙げられる。その一方で、発注者の承認が必要な場面であらかじめ意思決定期間が十分に確保されていない場合、後の工程に影響を及ぼす場合もある。

 そうした事態を避けるためスケジュールの立案に当たっては、発注者の意志決定に要する社内調整の手順をあらかじめ確認し、それらを織り込んだ期間を確保することが重要だ。特に発注者の関心が深いと思われる要素については、余裕を持ったスケジュールを設定するなど配慮を重ねることで、信頼を勝ち取ることができる。