職人不足による労務費の高騰で、事業の凍結や見直しが相次いでいる。設計者にとっては実勢の工事単価を読みにくい状態が続いている。工事費見積もりの勘所を押さえて、施工者と対等な折衝をするには…。(日経アーキテクチュア)

 工事費高騰が大きな課題となっている。建築技術者に対し、コスト管理の重要性が改めて突き付けられている。設計者のなかには、「月刊建設物価」(建設物価調査会刊)などの刊行物を参考に自らはじいた概算と、施工者から出てきた見積もりとの開きに頭を抱えている人も多いだろう。実勢の工事単価が分からないと、施工者と対等な折衝ができないし、工事費の調整もできない。

 対等な折衝をするためにまず押さえておきたいのは、施工者から届いた見積書の数字は、額面通りに受け取れるものではないということだ。そこには、施工者がプロジェクトの重要性をどのように認識し、発注者や設計者との関係をどう見ているのか、様々な思惑が反映されている。

 取りたい仕事か、つくりやすい建物か。発注者とのそれまでの関係まで加味した数字といってよい。