今回は建築の発注方式のトレンドを紹介する。と言われても、人ごとのように感じる方もいるかもしれない。発注方式を決めるのは発注者で、多くの建築技術者は、その決定に関わることがないからだ。

 しかし、どんな建築技術者にとっても、発注方式は仕事の進め方に大きく影響するので知っておいて損はない。発注とは、建物の品質と金額、および納期を決定する要。発注者の考え方に直結している。

 建築の発注形態は、大きく「設計・施工分離方式」と「設計・施工一括方式」に分けられるのは周知の通りだ。前者は設計事務所の作成した設計図書に従い、建設会社が施工を担当する。設計者が監理を担うことでしっかりと品質をチェックできるが、発注者は設計者と施工者それぞれとやり取りしなければならず、手間がかかる。後者は発注者の調整業務は軽減できるが、金額の根拠が発注者から見えにくいこともある。