(写真:山田 愼二)
(写真:山田 愼二)

プレゼンテーションの最終目的は「伝えること」ではない。
一線で活躍する設計者たちは、人の心を動かし、プロジェクトに巻き込む力にたけている。
秘訣は何か。新シリーズの初回は、隈研吾氏に「アオーレ長岡」の実現プロセスを聞いた。

アオーレ長岡のナカドマ(写真:長岡市)
アオーレ長岡のナカドマ(写真:長岡市)

 新潟県長岡市に2012年4月に開館したアオーレ長岡。大屋根に覆われた広場「ナカドマ」が話題となっている複合施設だ。ナカドマには、市役所やホールの入り口と並んで、ガラス張りになった議場の一部が顔を出す。「市が目指した市民協働型の市庁舎を象徴する存在として、ナカドマに面した1階に議場を置くプランを提案した」と隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所)は振り返る。

 議場の向かい側にはコンビニエンスストアがあり、テーブル席で人々が飲み物片手に談笑する。庁舎設計の常識から大きく外れたこのプランは、議会の反対意見を乗り越えて実現したものだ。