変化の激しいビジネスシーンにおいて、従来の仕事の手法が、本当に発注者のためになっているとは限らない。発注者の信頼を得てパートナーとなっていくために、押さえておきたい勘所を紹介する。(日経アーキテクチュア)

 「事業5用途」という言葉をご存じだろうか。これは「オフィス、ホテル、商業施設、共同住宅、倉庫」のこと。不動産会社による開発案件のほとんどを占める、施設の用途区分だ。不動産市場全体では、取引の約7割がこれらの用途に当てはまる。例えば、組織設計事務所が扱う物件については、その半数程度が事業5用途に含まれるのではないだろうか。

 事業5用途に対する需要は堅調だ。だが厳しく採算性が問われること、提案の余地が少ないことから、建築関連の技術者が手掛けるうまみは減っている。事業5用途に含まれる施設は、不動産会社主導で事業や建築のノウハウが確立されているからだ。景気がよい時代はそれでもよかったが、過剰供給と建設費の高騰で新築物件が頭打ちになりつつあるいま、これだけでは業務の拡大は望めない。