村井 そういうわけで、古くなったマンションの問題を考えている人の頭の中には、いま、建て替えと大規模改修という二つの物差しが並んでいる状態なんですね。 二つの道のどちらを選ぶか、二者択一になる。こっちでなきゃダメだ、いやこっちだという、ある意味では危険なほど極端に二分した考え方があって、問題の整理があまりきちんと行われていなかった気がするんですよ。 米山 建て替えか大規模改修かという話の前提となっているのは、最初に所有した人が、途中で賃貸化するにしろ、基本的には永久に持ち続けるという、そういう発想だと思うんです。私はそれは非常におかしいと思っています。 たまたまある時期に一つの建物を買って共同所有することになった人たちが、未来永劫建て替え続けて同じ場所を所有し続けたり住み続けたりしないといけないのかという疑問があります。 …… 要は、建物の寿命を終えたら、壊して、住んでいる人は別なところに移るなり何なりしてという形で、都市の新陳代謝が行われるのがごく自然だと私は思っているんです。だから、そもそも集合住宅を区分所有させることが間違っていたと私は思っています。
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