2008/09/12
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澤田博一氏(建物診断センター代表、マンション管理士)×村井忠夫氏
村井 長年、管理組合にかかわりつづけてきた立場で、このごろいつも感じることがあります。それは、管理組合は、どうも自分の過去の歴史を忘れてしまう記憶喪失の不安を抱えた団体じゃないかという点です。
大半の管理組合では、役員が毎年代わりますし、記録文書も保存されていないケースが珍しくありませんからね。つまり、年数がたつと当の管理組合自身で過去の歴史を確かめる術がなくなってしまうわけです。でも、管理会社は違う。そのマンションの過去のことは、ビジネスとしてのかかわり方ではあっても、管理会社のほうが管理組合よりはるかにきちんと覚えているはずですからね。
だから、そういう実情を自覚した管理組合と管理会社がお互いに信頼関係で結ばれていないと、どこのマンションでも過去の歴史がわからなくなってしまいますよと、いつも言ってきました。
ところが、管理会社の変更をめぐるトラブルが目立って多くなってきているようで、これはとても気になりますね。
澤田 それはこの20年、変わらない問題ですけれどね。
村井 確かに以前からある問題なんですが、このごろ特に目立つ気がします。ほとんどのケースでは、管理会社に対する期待度や理解度が、どこかで管理会社の変更に絡んでいるでしょうね。
澤田 そうですね、潜在的にはありますよね。
村井 ちょっと不安を覚えるケースが多い。そもそも管理会社を変えずに済むなら変えないほうがいいんじゃないかと思うんですよ。
澤田 ただ、物件を担当している担当者をあまりに頻繁に代えすぎる管理会社がありますよね。
村井 それは、確かにありますね。
澤田 そうすると、さきほどおっしゃっていた記憶の伝承なり何なりを第三者として担保していく役割は果たせない。これはあんまりじゃないかというケースもあって…。
村井 それは、確かに否定できませんね。管理会社の中には非常に担当者個人に任せっきりのところがあって、人事異動などで担当者が変わるたびに仕事のやり方が代わってしまうところがあるんですが、人が代わってもやり方があまり変わらない仕組みをつくってくれている管理会社だと、そういう問題は少ない気がするんですが……。どうですかね。
澤田 そういう意味では、私はむしろ、俗に“一人管理会社”と言われている中小管理会社に期待しているんですよ。十年一日と言われるかもしれないけれども、例えば前回の大規模修繕も今回の大規模修繕も同じフロントマンが担当しているなんていう管理会社は、中小しかないですからね。その点で、大きな会社では得られないメリットがあると思っています。
大きな会社では、1回目と2回目、あるいは2回目と3回目が同じ担当者であることはまずあり得ない。その担当者が社内で出世してしまう場合もあるだろうし、辞めてしまう場合もある。そうするとそのマンションの弱点というか、痛いところを知っている人がどこにもいない状況になってしまう。
村井 管理会社が担う管理の仕事には、確かに、現場担当者の個人的な属性による部分がかなりありますからね。
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