村井 どんなマンションでも、すべての居住者が工事計画をきちんと理解して協力するなんていうことはあり得ないわけで、常に一定量の“わからない”人、“知らない”人、それに情報が届いていない認識未確認ゾーンみたいな一群の人たちが残るわけですからね。 これは昔から、ある程度あったと思う。 ただ20年前の工事項目がシンプルだった時代はある程度割り切れば片付いちゃったわけですが、いまはそう簡単にはいかない感じが出てきているんだと思う。どうですか。 澤田 要するに、共用部分の工事であっても、どうしても専有部内に入らなければいけないという工事が発生するわけです。 …… とにかくカギを開けてもらって部屋の中に入って、間取りや内装が分譲当初のままなのか、それともリフォームしていて全然変わっているのか、そういうことを一戸一戸、確かめていかなければならないわけです。 それも漏れなくチェックしていかなければならない。ものすごく大変な作業ですよ。 …… 部屋の中に入って行う工事の経験を相当積んでいる施工者じゃないとできないでしょうね。新築しかやったことがないとか、あるいはいつも強制的に工事の事情に合わせさせてきたとか、そういう経験しかしていない施工会社だったらまず破綻する…。

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