日本パーツセンターは、津波を減衰し、漂流物を捕捉して被害を軽減する津波・漂流物防護柵「津波ガード」を発売した。神鋼建材工業や金沢大学と共同開発した。

特徴
■柵がない場合に比べて、津波の浸水深と流速を約3割低減。避難時間を約1.7倍に延ばす。

■防波堤などの上部やLNG基地などの港湾施設、避難タワーの周囲に設置。津波と漂流物の侵入に備える。

■木材、車両、コンテナ、船舶などの漂流物に対しては、最大500kJの衝突エネルギーまで耐える。

■津波減衰と漂流物捕捉効果のある防波板タイプ、漂流物捕捉効果のみの金網タイプとワイヤタイプの3種類がある。

価格
10万円/m~(税抜き)

開発の背景
短工期、低コストで津波対策が可能

日本パーツセンター 設計部
古路 裕子

 近い将来、発生が予想されている南海トラフ巨大地震などの津波対策として開発を始めた。

 支柱の間に漂流物を受け止めるワイヤを張り、その前面に無数に小さな穴を開けた防波板を取り付けている。穴を通過する流れと、それ以外の部分にぶつかって反射しながら次の津波と打ち消し合う作用、上方に波を打ち上げる作用とに分けることで、津波の威力を弱める。

 津波の流入を完全に防げるわけではないが、陸上に設置した場合、津波の浸水深と流速を約3割低減。避難時間は約1.7倍に延ばせる。

 大規模地震による津波の場合、既存の防波堤の高さでは越流の恐れがある。しかし、防波堤のかさ上げには工期や工費を要する。防波堤の上部に津波ガードを設置する方法であれば、工期の短縮やコストの削減につながる。

 透視性があるので、景観にも配慮できる。南海トラフ巨大地震などによる津波リスクが指摘されている太平洋岸を中心に、需要があると考えている。(談)

「日経コンストラクション9/22号 新製品」より