JFEスチールは、水系さび安定化補助処理剤「カプテンコートAQUA」を開発した。関西ペイント販売から発売する。

 溶媒主成分を水とすることで、作業中のVOC(揮発性有機化合物)発生量を有機溶媒と比べて8割削減した。単層塗布なので施工が容易。

 橋や照明柱など無塗装耐候性鋼構造物に塗布する。塗膜に塩分透過を抑制する機能を持たせて、耐候性鋼の表面に形成する緻密(ちみつ)で保護性のあるさび層の形成を補助する。

 塗膜は5~10年をかけて徐々に風化し、さび層が表出する。このさび層が鋼材を保護する。また、特殊な「流れさび防止成分」を配合し、構造物の美観を保つ。

 価格は1kg当たり3200円。

効果的な利用法
美観損なう「さび汁」にも有効

JFEスチール厚板セクター部主任部員
森谷 豊

 この製品は、水を溶剤の主成分としたため、有機溶剤系のさび安定化補助処理剤と比べてVOC排出量が格段に少なく、塗装準備や塗装作業中の安全性が高い。環境意識の高まりに応えると同時に、作業員の健康被害を防止する。

 塗装の下地となる耐候性鋼は、表面に緻密で保護性のあるさび層を形成するので、「さびでさびを制する鋼材」といわれている。このさび層で酸素や水分などの透過を抑制し、腐食を防止する。

 ところが、保護性のあるさび層ができる前の「若いさび」は、雨水などに溶け出してさび汁となり、構造物の美観を損なう場合がある。この製品を塗布すれば、こうした「流れさび」の発生を防ぐことができる。

 また、塗膜の風化の進行に伴って少しずつ保護性のあるさび層へと置き換わるので、塗膜色はさび色に合わせた。万一、傷などで塗膜がはく離した場合は、グラインダーなどでその部分を滑らかに削り、再度塗布すれば効果は持続する。(談)

(日経コンストラクション7月9日号「新製品・新サービス」より)