コンクリート診断士試験対策として6月19日に配信したケンプラッツ土木メール特別号を以下に転載します。PDF増量キャンペーンも実施中ですので、併せてご利用ください。

 23日発行の日経コンストラクション最新号に掲載した記事「コンクリート診断士 試験直前対策」(頻出キーワード20と出題傾向)をいち早くお届けします。さらに、これまでに同誌とケンプラッツに掲載した試験対策記事もすべて紹介します。本番まであと1カ月。ぜひお役立てください。

 コンテンツはケンプラッツ・プレミアム会員向けですが、上記の最新号記事をこのメールマガジンに掲載しています。これを機に、ケンプラッツ・プレミアムへのお申し込みをご検討ください。詳細はこちら。 http://nkbp.jp/1reV2PS

★PDFの200ページ増量キャンペーン……技術士試験対策にも

 6月中にケンプラッツ・プレミアム会員または日経アーキテクチュア・プレミアム会員になると、7月にダウンロードできる雑誌PDFのページ数を通常の20ページから220ページに増量します。このメルマガで紹介する全記事を読めるページ数です。技術士試験対策( http://nkbp.jp/1vyOJp5 )などにもご活用ください。7月1日時点でプレミアム会員であることが条件で、増量作業は7月7日ごろ実施します。増量分は7月31日まで有効で、8月には繰り越せません。

頻出キーワード20(最新号から)

 プレミアム会員限定PDFファイル http://nkbp.jp/1pDsD4I (利用限度の対象外)

(1)コールドジョイント

 コンクリートを打ち重ねる際に、先に打ち込まれたコンクリートが凝結・硬化を始め、後から打ち重ねたコンクリートと一体にならない箇所を指す。打ち継ぎと異なり、継ぎ目の処理をしていないため、脆弱部を中間層に持つ形となり、劣化因子が浸入しやすい欠陥となる。

(2)収縮ひび割れ

 コンクリートは乾燥収縮、温度変化による収縮、自己収縮、水和収縮など、収縮する性質を持つ。こうした収縮が、既設構造物や既設部材、内部鉄筋などによって拘束されることで生じるひび割れを指す。このうち、例えば乾燥収縮を防ぐには、単位水量の小さい配合にする、乾燥収縮の小さい骨材を使用するといった対策がある。

(3)エフロレッセンス

 コンクリート中の可溶性成分が水分の移動に伴ってコンクリート表面に移動し、空気中の二酸化炭素などを吸収することによって析出すること、または析出物を指す。コンクリート表面で固化して結晶化し、垂れ下がる場合はつらら状になる。

(4)ポップアウト

 コンクリート表面が局所的に飛び出すように剥離する現象。コンクリートの材料の膨張によって生じる。原因の例として、骨材に含まれる粘土鉱物、アルカリシリカ反応が生じた骨材、凍結による吸水性の高い骨材の氷圧などが挙げられる。

(5)塩害

 塩化物イオンによるコンクリート中の鋼材の腐食に伴い、腐食生成物の膨張圧でかぶりコンクリートにひび割れや剥離を引き起こしたり、鋼材の断面減少で部材の力学性能を低減させたりする現象。劣化を誘発する塩化物イオンは、海水や凍結防止剤のように外部環境からコンクリート内部へ供用中に浸透する場合と、コンクリート製造時に除塩不足の海砂などから取り込んでしまう場合がある。

(6)アルカリシリカ反応(ASR)

 セメント中にあるアルカリ(硫酸ナトリウムや硫酸カルシウム)がセメントの水和反応の過程でコンクリートの間隙に水溶液として溶け出し、強アルカリとなり、アルカリシリカ反応性鉱物を含む骨材(アルカリ反応性骨材)と反応して異常な膨張を生じる現象。アルカリ骨材反応とも呼ばれる。膨張がコンクリートを内部から押し広げ、亀甲状などの特徴的なひび割れとなって現れる。

(7)疲労破壊

 材料の持つ静的強度より小さいレベルの荷重を繰り返し作用させた場合に生じる破壊現象。鉄筋コンクリート床版では、(1)一方向のひび割れ発生(潜伏期)、(2)二方向のひび割れ発生(進展期)、(3)ひび割れ網細化と角落ち(加速期)、(4)床版の陥没(劣化期)と進行する。

(8)マクロセル腐食

 鉄筋などで、アノード部(自然電位が卑の部分)とカソード部(貴の部分)が明確に分かれ、数十センチ以上の電池を形成した状態で起こる腐食。断面修復した際、断面修復部と既設コンクリート部との境界付近やひび割れ部で、鉄筋のマクロセル腐食が進行しやすい。

(9)塩分濃縮

 コンクリートの中性化により、中性化した部分のフリーデル氏塩が分解し、塩化物イオンが細孔溶液中で拡散して部分的に濃度が高まる現象。コンクリート中で、一部の塩化物イオンは未水和のセメント中のアルミン酸三石灰と反応し、固定される。それによって生じる代表的な化合物の一つがフリーデル氏塩だ。フリーデル氏塩自体は鉄筋腐食に寄与しないが、コンクリートが中性化することによって分解し塩化物イオンが遊離すると、鉄筋腐食に影響を及ぼす。

(10)エトリンガイト

 石こうと水が十分に存在する条件下におけるセメントの水和時に、アルミネート相(アルミン酸三カルシウム)、石こうおよび水が反応して生成される水和物。結晶化するときに膨張する性質がある。

(11)累積疲労損傷

 応力振幅が発生する鉄筋コンクリート部材の疲労による劣化進行を予測する指標の一つ。線形累積損傷則を用いて、一定振幅応力下で得られるS-N曲線から疲労寿命を算定する。また、材料に繰り返し応力を加えた場合に、応力を無限回数作用させても破壊しない応力振幅の上限を疲労強度と呼ぶ。

(12)非破壊試験

 コンクリートの品質を、供試体または構造体に損傷を与えずに評価するための試験。内部鉄筋の位置やかぶりを調べる「電磁誘導法」、ひび割れ深さやコンクリートの内部欠陥の位置を調べる「超音波法」、内部鉄筋の位置やコンクリートの内部空洞の位置などを調べる「電磁波レーダー法」、コンクリート表面の浮きや剥離の分布を調べる「赤外線サーモグラフィー法」、内部鉄筋の腐食状態を調べる「自然電位法」などが代表的だ。

(13)コア試験

 コンクリート構造物から採取したコア供試体を用いた圧縮強度試験など、コンクリートの破壊を伴う試験のこと。コンクリートの品質を把握するのに確実で基本的な方法と言える。圧縮強度だけでなく、損傷の原因特定や対策立案に有益な試験(静弾性係数、塩分量、中性化深さなど)を同時に実施することも可能。

(14)自然電位法

 非破壊試験の一種。鉄筋が腐食することによって変化する電位を測定することで、コンクリート中の鉄筋の腐食の程度を評価する。コンクリートのひび割れや剥離が発生する前に、腐食劣化のおおよその部位を把握できる。コンクリート表面が完全に乾燥していたり、コンクリートや鉄筋の表面が被覆されていたりする場合は適用できない。

(15)配合推定

 硬化コンクリートの分析値などから、コンクリートの単位セメント量や単位骨材量、単位水量などを推定すること。「セメント協会法」を使うのが一般的だ。配合推定によって、損傷の原因や進行状況をより正確に把握でき、余寿命の推定精度を高められるので、より的確な対策の立案が可能になる。

(16)粉末X線回折

 多結晶体の試料にX線を入射し、回折X線の角度と強度を測定することにより試料の結晶構造を調べる定性分析方法。X線結晶構造解析とも呼ばれる。

(17)補修

 劣化した部材や構造物の今後の劣化進行を抑制し、美観や景観、耐久性の回復・向上と、第三者影響度の除去・低減を目的とした対策を指す。補修の種類としては、ひび割れ補修工法、断面修復工法、表面被覆工法、電気化学的補修工法、電気防食工法などがある。

(18)補強

 部材または構造物の耐荷性や剛性などの力学的な性能低下を回復・向上させることを目的とした対策を指す。耐久性劣化や過大なひび割れ・変形、過荷重による損傷などに対して、部材断面の増大、補強材の取り付け、新しい構造部材の設置、支持点の追加といった対策を施す。

(19)電気防食工法

 コンクリート中の鉄筋の腐食を抑制する対策工法。コンクリート表面に陽極材を設置し、内部鉄筋(陰極)に向かって継続的に電流を流す。外部電源を設置して防食電流を流す「外部電源方式」と、内部鉄筋と陽極材(亜鉛など)の電池作用によって防食電流を流す「流電陽極方式」に大別できる。

(20)耐震補強工法

 構造物の耐震性能を向上させる工法。対策によって、構造物が地震時水平力に対してせん断破壊しないことや、万一破壊に至るとしても曲げ破壊先行型の破壊形式になること、柱や壁の基部の曲げ破壊を先行させることが期待される。橋脚などの柱部材の場合、鉄筋コンクリートで巻き立てる方法や、鋼板や炭素繊維を貼り付ける方法などがある。

2013年度試験の出題傾向(最新号から)

 プレミアム会員限定PDFファイル http://nkbp.jp/1pDsD4I  (前述URLと同一ファイル。利用限度の対象外)

▽四肢択一式問題……受験者の判断を問う出題が増加

 40問が出題され、全問に解答する。出題分野は「鉄筋コンクリートの変状」、「劣化のメカニズムと評価・予測」、「調査・試験方法」、「補修・補強」の各分野から満遍なく出題されている。ここ数年、この傾向は変わらない。コンクリートの主要な変状・劣化現象について、発生要因とメカニズム、調査方法、対策方法などを結び付けて整理し、試験直前にも改めて確認しておきたい。

 一方、出題形式については変化がみられる。特に13年度はこれまでに比べて、問題中に写真や図表が示されるケースが増えた。下のグラフのとおり、3分の2の設問に何らかの写真や図表が含まれていた。また、文章だけの出題は13問あったが、そのうち3問では、空欄に当てはまる語句の組み合わせを選ばせる設問だった。

 試験制度が始まった当初は、調査や診断、補修・補強に関する「知識」を問う問題が多かったが、特にここ1 ~ 2年は、受験者の「判断」を求める問題が増えたと言える。

記述式問題……「問題A」でも具体的な記述求める

 問題A、問題Bの2問に解答する。13年度の試験では、問題Aは全員に共通で、二つの小問に400字以内と600字以内でそれぞれ解答する形式だった。

 かつては、「社会資本整備の在り方」、「社会がコンクリート診断士に求める役割」といった抽象的なテーマが出題されていたが、ここ数年ではより具体的な解答を求めるケースが増えた。

 例えば13年度は、コンクリート構造物の安全性を低下させる不具合事象の具体例を挙げさせ、効率的に維持管理するための点検や対策の内容についての解答を求めている。

 問題Bは、複数の出題の中から1問を選んで答える形式。土木、建築それぞれの問題が用意され、どちらの分野の受験者にも不利にならないように配慮されている。

 例年は2問の中から受験者が1問を選んで解答する形式が多かったが、13年度は3問の中から1問を選ぶ形式だった。二つの小問に合計1000字以内で解答する。

 写真や図表をもとに、劣化や変状の原因やそれを特定するための調査方法を問い、長期にわたって供用していくための対策や維持管理計画を提案させるといった内容だ。これも四肢択一式試験と同様、最近は問題中に提示される写真や図表の点数が増える傾向がみられる。

これまでに日経コントラクションに掲載した記事(PDF形式)

コンクリート診断士一直線
(1)合格の受験戦略、難関ゆえ十分な準備を http://nkkp.jp/a/pdf/1609953
(2)四肢択一式、変状は原因とセットで覚える http://nkkp.jp/a/pdf/1723618
(3)四肢択一式、雨掛かりなどの環境にも着目 http://nkkp.jp/a/pdf/1736831
(4)四肢択一式、同じ劣化でも構造物ごとに対策は違う http://nkkp.jp/a/pdf/1744553
(5)四肢択一式、補修・補強の方法を選ぶ http://nkkp.jp/a/pdf/1776553
(6)記述式、まずはキーワードを書き出す http://nkkp.jp/a/pdf/1786187
(終)直前対策、四肢択一式の時間配分に用心 http://nkkp.jp/a/pdf/1794085
(番外)2010年度試験の総括、判断力を試す設問が増加 http://nkkp.jp/a/pdf/1816740

生かせ!コンクリート診断士
(1)構造物の変状を調査する http://nkkp.jp/a/pdf/1829003
(2)劣化の進行を判断する http://nkkp.jp/a/pdf/1861589
(終)調査を踏まえて対処する http://nkkp.jp/a/pdf/1879818

例題で学ぶコンクリート診断
(1)塩害を受けたPC桁 http://nkkp.jp/a/pdf/520266
(2)交通量の多いラーメン橋 http://nkkp.jp/a/pdf/538270
(3)RC製の橋脚 http://nkkp.jp/a/pdf/554367
(4)再劣化したPC橋 http://nkkp.jp/a/pdf/569532
(5)ひび割れや変色が見られる構造物 http://nkkp.jp/a/pdf/586254
(終)PC橋の床版 http://nkkp.jp/a/pdf/599115

資格の取り方 コンクリート診断士
(1)試験の概要と合格までの流れ http://nkkp.jp/a/pdf/58630
(2)コンクリートの劣化メカニズム1 http://nkkp.jp/a/pdf/69663
(3)コンクリートの劣化メカニズム2 http://nkkp.jp/a/pdf/76384
(4)構造物の劣化調査の方法 http://nkkp.jp/a/pdf/87958
(5)劣化の診断と予測 http://nkkp.jp/a/pdf/95539
(6)補修工法と補修材料の選定 http://nkkp.jp/a/pdf/103032
(7)補修・補強工事と施工後の維持管理 http://nkkp.jp/a/pdf/109504
(終)記述式問題 http://nkkp.jp/a/pdf/118796

コンクリート補修実践講座
(1)知っておきたい50のキーワード http://nkkp.jp/a/pdf/433538
(2)橋 床版の劣化メカニズムと判定法 http://nkkp.jp/a/pdf/433605
(3)橋 床版の補修工事の注意点 http://nkkp.jp/a/pdf/433664
(4)橋 桁の調査・診断と補修計画 http://nkkp.jp/a/pdf/433724
(5)橋 桁の補修工法・材料の選択 http://nkkp.jp/a/pdf/433782
(6)橋 橋台・橋脚の補修計画の要点 http://nkkp.jp/a/pdf/433860
(7)橋 橋台・橋脚の補修工事のポイント http://nkkp.jp/a/pdf/433926
(8)橋 付属物の点検・調査と補修方法 http://nkkp.jp/a/pdf/433993
(9)トンネル 覆工のはく落対策の立て方 http://nkkp.jp/a/pdf/434062
(10)トンネル 覆工の補修工法と注意点 http://nkkp.jp/a/pdf/434129
(11)下水道 硫酸による腐食と調査・診断 http://nkkp.jp/a/pdf/434192
(12)下水道 施設の補修工法と品質管理 http://nkkp.jp/a/pdf/434255
(13)下水道 管きょの補修工法の選び方 http://nkkp.jp/a/pdf/434319
(14)桟橋 塩害環境下の劣化の特徴 http://nkkp.jp/a/pdf/4216
(終)桟橋 海上部での補修のポイント http://nkkp.jp/a/pdf/4197
(番外)補修ビジネスの確立に向けて http://nkkp.jp/a/pdf/3936

これまでにケンプラッツに掲載した記事

▽択一式

過去問題の要点 2011年度
http://nkkp.jp/a/cc/20120621/572933/

択一式の要点
点検 http://nkkp.jp/a/cc/20120621/572932/
調査 http://nkkp.jp/a/cc/20120621/572931/
判定 http://nkkp.jp/a/cc/20120621/572930/
補修・補強 http://nkkp.jp/a/cc/20120621/572929/

▽記述式

過去問題と解答例
2011年度 http://nkkp.jp/a/cc/20120620/572634/
2010年度 http://nkkp.jp/a/cc/20120620/572633/
予想問題と解答例 http://nkkp.jp/a/cc/20120620/572632/
記述式の要点 http://nkkp.jp/a/cc/20120620/572631/

▽出題傾向と対処法

試験直前に押さえておきたい留意点
http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571451/
出題傾向を踏まえた対策 2012年度
http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571453/

試験に出る重要キーワード40
http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/
変状に関する用語 http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/?P=2
劣化に関する用語 http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/?P=3
調査に関する用語 http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/?P=4
分析に関する用語 http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/?P=5
対策に関する用語 http://nkkp.jp/a/cc/20120611/571452/?P=6

試験対策書籍

▽2014年版 コンクリート診断士試験 合格指南
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▽コンクリート診断士試験 重要キーワード100
詳細 http://nkbp.jp/1nhq1EH
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