日経アーキテクチュアは「第7回 日経アーキテクチュアコンペ」を開催します。課題設定や審査基準の切り口を鮮明にするため、これまでの本誌コンペと同様に審査員は一人。今回の審査員は建築家の古谷誠章氏です。

課題:「重ね着する空間」
審査員:古谷 誠章氏(ナスカ代表、早稲田大学教授)
作品応募期間:2009年12月1日~2010年1月28日(当日消印有効)

 われわれの身体は、まず衣服を着て、さらに家具や部屋や建築に包まれ、それを街や都市や自然が囲み、地球の大気圏がさらにその全体を覆っています。その先にはさらには有害な紫外線を遮るオゾン層があって、近年そこにあいた穴が問題となりましたが、実はこれが、われわれが宇宙に対して一番外側に着ている「服」だともいえます。
 服なら、暑ければ上着を脱いで襟を開き、腕まくりをし、寒ければ何枚も着込んで襟元にマフラーを巻いて暮らします。しかし、その上に着ているはずの住居や建築はどうでしょう。かつては、夏と冬で障子を替えたり、蚊帳を吊ったり、夜には雨戸を建てたりしましたが、技術文明の発達と共に、機械力に頼るようになって、「服」の内外を断絶する方向に走ってきました。われわれは今、果たしてたった一枚で外界に向かうような宇宙服的な建築を考えるべきなのでしょうか。
 みなさんには「衣服的な建築」、あるいは「重ね着する空間」から発想される斬新な空間のイメージを提案してほしいのです。

(古谷誠章)

●賞および賞金:
総額200万円(入選点数と賞金の内訳は、審査後に審査員の古谷誠章氏が決定)。

●応募資格:
どなたでも参加できます。応募者はグループ・個人を問いません。応募できる作品数は、応募者1人につき1作品とします。

●入賞者への結果通知:
2月上旬

●入選作品発表:
日経アーキテクチュア2010年3月22日号、および建設・不動産の総合サイト「ケンプラッツ」ほか。

≪20歳代の応募者に「立原道造賞」≫

 2005年から、立原道造記念館(東京都文京区)の協力のもと、「立原道造賞」を併設しました。「才気あふれる作品を提出した20歳代の応募者に与える最高賞」として、コンペの最優秀賞と同額の賞金を受賞者に授与します。詩人として活躍し、24歳の若さで他界した立原道造は、「建築家」としても将来を嘱望されていました。感性が光る応募者に、故人にちなんだ同賞を贈ります。
※対象は、2010年4月1日時点で応募代表者の年齢が満29歳以下の作品です。

立原道造(たちはら みちぞう)
 1914年(大正3年)東京・日本橋に生まれる。34年東京帝国大学工学部建築学科入学。堀辰雄が主な主宰者であった『四季』(第二次)の編集同人となる。以後晩年まで、『四季』を主な舞台として、ソネット(14行詩)詩人として活躍。37年東大卒業、石本建築事務所に入社。38年夏、肺尖カタルのため休職。39年第一回中原中也賞受賞。3月29日、病状急変し、永眠。享年24歳