中小の業務改善を図るK-engineサービス
他産業に比べ、住宅業界は改善の余地にあふれている。そんな視点で、中小の住宅会社による日本の家づくりを根本から改革するK-engine(ケイエンジン)サービスが2014年秋に始まり、今年3月時点で利用社数が3,000に達した。なぜ今このサービスが必要なのか?何が変わるのか?K-engine社の喜久川政樹社長が熱く語る。
私は長く通信業界に籍を置き、モバイル通信会社の社長などを務めた後、5年前に住宅業界に転身した。そのときに驚いたのは、日本の新築木造住宅の6割以上をつくっているのが、中小・中堅の住宅会社だという業界の構図だった。こうした構図は他産業にはない。例えば、モバイル通信業界は大手3社の寡占に近い。その他、自動車や家電など大半の産業界は、大手を中心に市場が成り立っている。今も中小・中堅が中心という住宅業界は、非常に特異な世界だと思った。
同時に、これから長期的に新築市場が縮小するなかで、中小・中堅の住宅会社はどうやって生き残っていくのか、という課題も分かった。どの業界も、市場の縮小が予測されると、新しいマーケットをつくったり、既存のマーケットの効率化を図ったりして利益を伸ばそうと努力する。その一環で、あらゆる業界が推進しているのがIT化で、大手企業は何百億円、何千億円といった投資をして業務改善を図っている。
しかし、中小・中堅の企業には、そうした投資をする力はない。事実、中小住宅会社の大半は、十分なIT化が進まず、効率化できるはずの業務を、昔ながらのアナログ手法で、膨大な手間と時間をかけてこなしている。
そこで、中小・中堅の住宅会社の業務効率化に向けた新しい“インフラ”として、私たちは2014年9月にK-engineサービスをスタートさせた。