緑化に雨水流出抑制を加え 2つの義務を同時に果たす

 屋上緑化のシステムとして当社で推進しているのは、約40cm四方のユニット式で、土壌コンテナの下に雨水を貯める貯水槽を持つ。この貯水槽の雨水で植物を育てるわけだ。これは、雨水流出緩和効果は見込めるが、雨水流出抑制施設としては認められない。

 では、雨水流出抑制施設とはどのようなものか。それを次にみていく。

 最近、積乱雲の発達で集中豪雨の観測回数が増えている。一方で、以前は地下に浸透していた雨水は、市街化が進むにつれて短時間で河川や下水に流れ込むようになってきた。その対策として自治体で整備する必要が生じてきたのが、雨水流出抑制施設である。

●雨水流出抑制施設の種類
資料:東京都都市整備局「公共施設における一時貯留施設等の設置に係る技術指針」
資料:東京都都市整備局「公共施設における一時貯留施設等の設置に係る技術指針」

 これらの施設整備を進める自治体ではどのように指導しているのか。東京都目黒区の指導要綱をみてみよう。

 この指導要綱では、敷地面積500m2以上の民間施設の場合、敷地面積1ha当たり600m3の雨水流出抑制を求めている。その雨水流出抑制量を、貯留施設と浸透施設でそれぞれどの程度賄うか、計画書を提出しなければならない。

 ところが、校庭・運動場や地下ピットなどを活用する貯留施設の整備は通常、大きなコストが掛かる。そこで当社では、屋上を活用できないかと提案している。つまり、屋上緑化システムで雨水を貯留することで、屋上緑化と雨水流出抑制という2つの法的な義務を同時に果たそうというわけだ。

 それを商品化したのが、「スクエアターフ洪水無用」である。1つのユニットは高さ23cmほどで、3層に分かれる。上は土壌コンテナ、真ん中は貯水槽、下は雨水の一時貯留槽だ。

●「スクエアターフ洪水無用」システム構成

●「スクエアターフ洪水無用」断面イメージ図

 雨が降ると、上の土壌コンテナから真ん中の貯水槽に浸透し、さらに下の一時貯留槽に溜まっていく。そこは雨水流出抑制という観点から時間を掛けて自然に排水するように設計されている。雨水をすべて排水するには約20時間掛かる。

 ポイントは、屋上緑化と雨水流出抑制という2つの義務を同時に果たすことができる点だ。しかも、地下ピットの利用と違って排水には動力を用いないので、導入コストの削減にもつながる。工期も短縮できるし、子どもの転落や漏水など安全管理面でリスクもない。屋上だけでなく、外構にも活用できる。

 屋上緑化と雨水流出抑制を同時に実現できる類似商品はない。共同カイテックは今後も、防災の視点を加えた新しい切り口で商品を開発していきたい。

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