再生可能エネルギー利用を20%に

 「東京都長期ビジョン」の中間報告書では、おおむね10年後(2024年ごろ)までの達成目標として、「エネルギー消費量を2020年までに2000年比で20%削減」「再生可能エネルギーによる電力利用割合20%」という数値を示している。

 この中間報告では、さらに細分化した数値も提示している。まず、既に別途発表済の数値だが、キャップ&トレード制度における第2計画期間の温室効果ガス削減義務率の目標数値を、都が定めた建物の区分により17%または15%(2015~19年度)と設定した。また、2019年度に都有施設への太陽光発電導入約2万kW(2013年度比約2倍)、2024年度に業務用コージェネレーションシステムの導入60万kW(2012年度比約2倍)という目標が設定された。この2つは今回新たに設定されたものだ。都有施設の太陽光発電は自家消費を想定している。

 再生可能エネルギー導入拡大策としては、太陽光発電と太陽熱利用については既存建物の屋上や駐車場上部などの未利用スペース利用を強調。地中熱の活用、食品廃棄物などの都市型バイオマスの活用も具体的に例示している。目標達成のための長期的な工程イメージは「東京都再生可能エネルギー拡大検討会」でまとめる。10月6日に開かれた第3回会議では、工程イメージが示された。11月か12月ごろには、検討会の結果を公開予定だ。

 東京都では、長期ビジョンに連なる2015年度の新たな施策として、「コージェネの熱や電気を、建物単体からより面的にエリアでつなげていきたい。熱導管や自営電力線の整備も含め、促進についての予算を11月の概算要求では要求していきたい」(宮武課長)、「14年度に引き続き、中小テナントビルの地球温暖化対策報告書や、その報告書を基にテナント向けにオーナーが作成するカーボンレポート制度を進め、エネルギーの見える化の仕組みを整備する」(環境局都市地球環境部計画課長の小川謙司氏)。データが集まれば、ウェブの地図上で広く公表していくことなども検討する考えだ。

●東京都の再生可能エネルギー拡大に向けた工程イメージ
(「第3回 東京都再生可能エネルギー拡大検討会」資料を日経アーキテクチュアで一部加工)
(「第3回 東京都再生可能エネルギー拡大検討会」資料を日経アーキテクチュアで一部加工)