野竹宏彰氏 のたけ・ひろあき 清水建設技術研究所安全安心技術センター主任研究員 建物の火災安全設計に関する研究や、避難安全対策技術の開発に携わった。現在は、災害時のバリアフリーなど、使いやすく実効性の高い技術の適用を目指して取り組んでいる(写真:栗原克己)
野竹宏彰氏 のたけ・ひろあき 清水建設技術研究所安全安心技術センター主任研究員 建物の火災安全設計に関する研究や、避難安全対策技術の開発に携わった。現在は、災害時のバリアフリーなど、使いやすく実効性の高い技術の適用を目指して取り組んでいる(写真:栗原克己)

 所属している技術研究所の安全安心技術センターで、私は避難対策の研究を主に担当している。研究所では、災害分野別の社内組織の縦割りを超えた取り組みを進めている。

 東日本大震災では、3つの新たな課題が見えてきた。1つは災害そのもの。想定すべき災害レベルが上昇した。次に、建物については、長周期地震動や液状化、天井落下などこれまで大きくクローズアップされていなかった分野にも対応が必要なことがはっきりと分かった。さらに建物内にいる人については、避難時のバリアフリー化が課題となった。

 これら課題への対応例の1つが、2013年12月に竣工した順天堂医院のB棟高層棟の災害避難時のバリアフリー対策だ。学校法人順天堂と早稲田大学、当社との3者が共同研究して、その成果を生かしたものだ。