地震時の対応を即座に判断

 地震後に建物の構造についての“健康診断”をする構造ヘルスモニタリングのサービスも始めている。

 建物内に加速度計や変位計などの地震動を観測する計器を設置し、そのデータを分析して地震後の建物の被災度判定と、被災直後の迅速な避難指示情報を提供する「地震時建物被災度判定システム」を開発した。

 建物の損傷度合いを素早く判定し、「即座に逃げて下さい」「机の下に隠れて下さい」といった指示を防災センターに進言する。さらに「余震が来てもこの建物は大丈夫か」といった問い合わせへの情報も提供する。

 こうした情報発信については建物の利用者や防災センターの人からの要望が強い。オーナーとはまた違った観点からのニーズといえる。

●「地震時建物被災度判定システム」によるサービスのイメージ
(資料:日建設計)
(資料:日建設計)

●簡易判定レポートの例(部分)
(資料:日建設計)
(資料:日建設計)

 このサービスは今のところ当社で設計した建物のみに提供している。建物に対する考え方は設計者ごとに異なる部分がある。収集したデータからソフトウエアが簡易的な被災度判定を下すための基準は、その建物を設計した設計者だからこそ設定できるのである。