東京五輪やリニア開業に間に合うか?

 注目すべき事業の3つ目は、これらの地区をつなぐ駅前広場や通路などの整備だ。都営地下鉄と京急が乗り入れる泉岳寺駅とJRの新駅、品川駅とを歩行者デッキで結ぶ。

JR品川駅のホーム北端から「品川駅北周辺地区」方向を見る。車両基地の跡地で建物の解体工事などが進んでいる。品川駅の北側にも駅前広場を整備して、高速バスの乗降場などをつくる計画がある(写真:ケンプラッツ)
JR品川駅のホーム北端から「品川駅北周辺地区」方向を見る。車両基地の跡地で建物の解体工事などが進んでいる。品川駅の北側にも駅前広場を整備して、高速バスの乗降場などをつくる計画がある(写真:ケンプラッツ)

歩行者デッキの整備イメージ(資料:東京都)
歩行者デッキの整備イメージ(資料:東京都)

地下にある泉岳寺駅。東京都は利用者の増加に備え、ホームの拡幅などを検討している(写真:ケンプラッツ)
地下にある泉岳寺駅。東京都は利用者の増加に備え、ホームの拡幅などを検討している(写真:ケンプラッツ)

 最後の4つ目は、都市計画道路である環状4号線の整備だ。環状4号線を東側に延ばし、JRの車両基地で分断されている東西を高架でつなぐ計画もある。完成すれば、臨海部と六本木や麻布などとのアクセスが改善する。高架だった京急品川駅を地上に下ろすことで、こうした道路を通しやすくなるとみられる。

計画されている環状4号線と、JR車両基地の東西をつなぐ環状4号線延伸部の縦断線形イメージ(資料:東京都)
計画されている環状4号線と、JR車両基地の東西をつなぐ環状4号線延伸部の縦断線形イメージ(資料:東京都)

現在の国道15号。この付近で環状4号線と接続する(写真:ケンプラッツ)
現在の国道15号。この付近で環状4号線と接続する(写真:ケンプラッツ)

 ガイドライン案が示す街づくりが実現するのはいつごろか――。

 残念ながら、現時点ではっきりとしているのは、JR東日本が車両基地の跡地につくる新駅が20年、JR東海のリニア中央新幹線が27年にそれぞれ開業するということぐらいだ。

 都によると、「東京五輪を開催する20年やリニア中央新幹線が開業する27年は、事業を進めるうえでの一里塚になる。しかし、明確な目標は決まっていない」という。京急品川駅の地平化だけをとっても、工事中の用地確保や工事費の負担など、国と都、JR、京急などによる協議や事業スキームの検討から始めなければならない。

 わずか6年後に迫った東京五輪。世界から注目されるその時までに、品川は「国際交流拠点」として変化を遂げているだろうか。関係者の手腕が問われる。

八ツ山橋で交差する京急線とJR山手線、東海道新幹線。品川駅は交通の要衝となっている(写真:ケンプラッツ)
八ツ山橋で交差する京急線とJR山手線、東海道新幹線。品川駅は交通の要衝となっている(写真:ケンプラッツ)

八ツ山橋は旧東海道に位置する(写真:ケンプラッツ)
八ツ山橋は旧東海道に位置する(写真:ケンプラッツ)