京急品川駅を1階に下ろす

 ガイドライン案の中で注目すべき事業は4つある。

 1つ目は、品川駅の再編による駅機能の強化だ。高架になっている京急品川駅のホームを2階から1階に下ろして、京急線とJR線との乗り換えを容易にする。

 高架の鉄道を地平化する事業は、東海道新幹線に品川駅を設置した際など一部に前例はあるものの、全国的に珍しい。同時に、京急品川駅のホームを現在の2面3線から2面4線に拡張して、輸送力を高める。

京急品川駅のホームから南側を見る。右の高架が京急線、左がJR線(写真:ケンプラッツ)
京急品川駅のホームから南側を見る。右の高架が京急線、左がJR線(写真:ケンプラッツ)

京急品川駅のホームから北側を見る。右がJR品川駅(写真:ケンプラッツ)
京急品川駅のホームから北側を見る。右がJR品川駅(写真:ケンプラッツ)

 京急線は現在、品川駅から羽田空港に乗り換えなしでアクセスする唯一の鉄道となっている。しかし、京急品川駅のホームだけ2階にあるので、1階にホームが並ぶJR線や東海道新幹線から乗り換える利用客にとって、空港へ向かう列車やホームの位置が分かりにくかった。

 京急線を1階に下ろすことで、2階レベルにあるJR品川駅の東西自由通路をホテルや会議場などが多く立地する駅の西口地区まで延ばすことも可能となる。現在は、自由通路が同じ高さにある京急線とぶつかるので、駅から西口地区に向かうには途中で地上に下りて、混雑した西口駅前広場を横切る必要があった。

品川駅の東西自由通路の整備イメージ。東西方向の地下鉄新線の整備も検討する(資料:東京都)
品川駅の東西自由通路の整備イメージ。東西方向の地下鉄新線の整備も検討する(資料:東京都)

現在の東西自由通路(写真:ケンプラッツ)
現在の東西自由通路(写真:ケンプラッツ)

東西自由通路の西口(高輪口)側は京急線とぶつかるため、地上に下りる必要がある(写真:ケンプラッツ)
東西自由通路の西口(高輪口)側は京急線とぶつかるため、地上に下りる必要がある(写真:ケンプラッツ)

品川駅には大きな荷物を持った旅行者や外国人観光客が多く、分かりやすい動線の確保が課題となっていた。品川駅から羽田空港までは京急線で最短12~15分と近い(写真:ケンプラッツ)
品川駅には大きな荷物を持った旅行者や外国人観光客が多く、分かりやすい動線の確保が課題となっていた。品川駅から羽田空港までは京急線で最短12~15分と近い(写真:ケンプラッツ)

 ガイドライン案では、品川駅の南側にある京急線の品川第1(八ツ山橋)踏切の解消も盛り込んだ。道路と鉄道の立体化について検討を進めていく。

現在の品川第1(八ツ山橋)踏切(写真:ケンプラッツ)
現在の品川第1(八ツ山橋)踏切(写真:ケンプラッツ)

 同踏切は、JR線の上をまたぐ京急線と旧東海道の街道とが平面交差している。立体交差にして踏切を解消するためには、JR線を1階、道路を2階とした場合、京急線を3階の高さにしなければならない。

 京急品川駅の地平化と踏切の解消を同時に実施した場合、京急品川駅から横浜方面や羽田空港に向かう列車は、品川駅から踏切までのわずか400mほどの区間で、1階から3階の高さまで駆け上がることになる。

 ガイドライン案をまとめた東京都都市づくり政策部開発企画課では、ケンプラッツの取材に対して「技術的には可能だ」と説明。一方、京急広報課は「具体的な検討はこれから」と述べるにとどめた。まずは京急品川駅の地平化だけを先に実施するという選択肢もありそうだ。